心室頻拍でwideQRSになる理由
心室頻拍でwideQRSになる理由
心室頻拍とはHis束より遠位の心室起源から発生して3拍以上連続して出現する100-250回/分の頻拍のこと。多くは心筋梗塞や心臓手術後などのように基礎疾患を有している場合が多い。心室頻拍は興奮が固有心室筋から発せられているのでQRSの幅が広くなる。
本来洞房結節の興奮が心臓全体に伝わる場合は心房、房室結節、ヒス束、右脚・左脚、プルキンエ繊維、心室という刺激伝導系を通り非常に速い連絡で心室全体にも短時間で興奮が伝わるのでQRSは狭い。
(プルキンエ繊維というのは非常に太い繊維であり伝導速度が2ー4m/sと非常に早く、心臓全体の心室内膜下に分布して心筋が同期して収縮することを可能にしている。)
しかし、心室頻拍は心室の筋肉が命令を出しているので刺激伝導系を通らずゆっくりとまわりの心室筋に刺激を伝えることになる。たとえるなら心房由来の刺激が高速道路なのに対して、心室由来の刺激は下道を通ってくるようなものかもしれない。