つねぴーblog@内科専門医

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細胞内脱水にブドウ糖輸液が用いられる理由

細胞内脱水にブドウ糖輸液が用いられる理由


蒸留水を輸液すると浸透圧が低いので赤血球の中に水が移動して溶血を起こしてしまう。そこで溶血を起こさないように浸透圧を調節した補液が行われる。ブドウ糖輸液の場合は5%で行わる(=1Lの水に50gのブドウ糖が存在)。浸透圧は278mOsm/kgでほぼ浸透圧である。ブドウ糖輸液の場合、ブドウ糖は体内にはいるとすぐに代謝され水として振る舞う。水は血管内、間質、細胞内と均等に移動することができるので細胞内脱水を改善させることができる。

 

一方で、生理食塩水の場合、血管内と間質は自由に行き来できるが、細胞内には入ることはできない(実際には入ることができるが、細胞にはNa-K-ATPaseがついておりNaをどんどんと細胞外にくみ出すので、実質上生理食塩水は細胞の中に入れない)。よって生理食塩水は細胞外脱水の補液に適しているのである。


さらに効率的に細胞外脱水を調節したい場合、アルブミンなどの膠質が使われる。アルブミンは血管と間質すら移動できないので基本的にすべて血管内にとどまる。しかしコスト的に非常に高く、また腎障害を引き起こすという報告もあり臨床で用いられる機会は少ないようである。

 

まとめると

細胞内脱水→ブドウ糖輸液

細胞外脱水→生理食塩水輸液orアルブミン輸液