肺癌でパンコースト症候群とホルネル症候群が起こる理由
肺癌によるパンコースト症候群とホルネル症候群
肺癌の合併症としてpancoast症候群とホルネル症候群が知られている。肺尖部(肺尖部とは肺のてっぺん)に生じた癌が胸郭の外に浸潤したために起こる症候群である。肺の扁平上皮癌がもっとも多いが、乳ガンや甲状腺ガンなどでも肺尖部近くに浸潤すれば同症状を生じうる。
肺尖部のすぐ上にはC8、T1の神経根とそこから延びる上腕神経叢と頸部交感神経節がある。ホルネル症候群ではまず上腕神経叢領域に腫瘍が浸潤して損傷を与えるため、肩部から前腕尺側(特に4指と5指)にかけての運動神経障害、知覚神経障害および激痛が生じる。また、頸部交感神経節も侵されてダメージを受けるとホルネル症候群が生じる。
ホルネル症候群というのは交感神経の障害によって引き起こされるが、交感神経の作用として散瞳、眼瞼の挙上、発汗などがあるのでそれらが全て傷害され、眼瞼下垂、縮瞳、眼瞼狭小、病側顔面の発汗低下などの症状が生じる。