つねぴーblog@内科専門医

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WPW症候群の心房細動へジゴキシン、ベラパミルが禁忌の理由

WPW症候群へのジゴキシン、ベラパミルが禁忌の理由

WPW症候群とは何か

心房筋と心室筋の間に存在するkent束により心房興奮が心室筋に伝導され、房室結節を経由してくる正常な興奮よりも早く心室が興奮してしまう
。WPW症候群の患者が心房細動を起こすと、心室頻拍や心室細動を起こして突然死してしまうリスクがある。健常人では心房の心拍数が過剰に早くなったとしても、房室結節では房室ブロックがおこり、心室にその過剰な心拍が伝わらないように調節してくれている。

ところが、WPW症候群では前述の通り、kent束経由の伝導が過剰な心房興奮をそのまま心室に伝えてしまい、致死的な心室細動を引き起こしてしまう。房室結節伝導とkent束の両方の経路から心室に興奮が伝わればまだよいが、ジゴキシンやベラパミルを投与すると、房室伝導のみを抑制して、多くの心室興奮がkent束に依存するという状態になってしまう。

心房細動を起こした急患が運び込まれてきて、その患者がWPW症候群とわからなかったら(洞調律時の心電図がなかったら)心拍数を低下させようとして上記の薬物を投与してしまうと大変危険である。