呼気時と吸気時の胸腔内圧の変化について
吸気時も呼気時も胸腔内圧は陰圧である。故に、静脈血は心臓に戻りやすくなる(掃除機で吸われるように…)。胸腔内が陰圧であることにより、肺の動静脈は広がることができ、つまりは肺の血管抵抗が低くなる。肺の血管抵抗が小さいと、肺に血管を送り出すための右心室の負担も小さくなるので、右心室の壁は左心室の壁に比べると薄い。つまりは心臓のエネルギー消費を抑えるという観点からも合理的である
■しかし、胸腔内の陰圧が維持できない場合もある。
例えば、緊張性気胸で肺に穴が空いて空気が胸腔内に漏れだすと胸腔内圧は上昇してしまう。すると静脈還流量は低下し、心拍出量も減少し、ショックに陥る。
また、肺の血管抵抗が上昇すると、右室に圧負荷がかかり、右心不全に陥る(肺高血圧)。
■吸気時と呼気時では陰圧の程度が違う
吸気時は横隔膜と外肋間筋が働き、胸腔が外に広がる。故に中の圧力が低下する→肺が広がる=陰圧
呼気時には内肋間筋が働き、胸腔を狭める。故に胸腔内の圧力が上昇する→肺が縮む=この場合は比較的圧力は高くなるが、陰圧であることには変わりない。