つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

トランスフェリンとフェリチンの違い

■鉄のおはなし

 

人の体内には3-4gの鉄があるが、全てがヘモグロビンと結合しているわけではない。

鉄の2/3がヘム鉄(ヘモグロビンと結合した状態)

鉄の1/3が貯蔵鉄(ヘモグロビンと結合していないもの=非ヘム鉄)

 

貯蔵鉄というのは名前の通り、貯蔵しているのであってお金で言うならば貯金みたいなもの。その形式にはフェリチンとヘモジデリンという2つのタイプが存在する。

 

フェリチン:鉄をミセルにして取り込んだ水溶性の球状タンパク質。必要に迫られれば赤血球の合成として用いることができる。

ヘモジデリン:フェリチンが変性した不溶性の塊。

 

 

■鉄の動態

食事中の鉄分の多くはFe3+。多くは胃酸で還元されてFe2+になって十二指腸から吸収されて、毛細血管に入り、そこでトランスフェリンと結合する。トランスフェリンは鉄輸送専門のタンパク質。一部の鉄はトランスフェリンに運ばれて赤芽球に取り込まれる。

残りの鉄は肝臓や脾臓に運ばれてフェリチンとして蓄えられる。

 

鉄は反応性が高いのでFe3+やFe2+といった遊離イオンの状態では放置されていない。多くはトランスフェリンと結合しており、血清鉄の正常値は80-160μg/dlほど。また、フェリチンは前述のとおり肝臓や脾臓といった網内系細胞に存在しているが、水に溶けやすいため、一定の割合で血液中に存在している。故に血液中のフェリチンを測定すれば、蓄えられているフェリチンの量も推定することができる。

 

■トランスフェリンとフェリチンの役割まとめ

トランスフェリン

鉄専門の輸送タンパク質

鉄はイオンの状態では毒性が強いのでトランスフェリンと結合して毒性を抑える。トランスフェリンと結合した鉄を血清鉄という。

 

フェリチン

貯蔵鉄のこと。

一定の割合で血液中に溶けだしていて、血清フェリチンとして測定される。

血清フェリチン自体に鉄はほとんどないが、その量は貯蔵鉄と強い相関があるので、貯蔵鉄の量を示すマーカーとして用いられる。鉄欠乏状態では低値を示し、鉄過剰状態では高値を示す。