肺胞蛋白症の病態生理
肺胞蛋白症(PAP)とは…
肺胞腔内や終末細気管支内にサーファクタント由来リポタンパク質物質が異常に貯留する疾患。先天性、続発性、自己免疫性の3つのパターンがあるが、成人発症のほとんどが抗GM-CSF中和自己抗体が関与する自己免疫性のものである。
*GM-CSFとは活性化T細胞や血管内皮細胞などあら産生されるサイトカインの一種で、造血を促す因子。肺胞では二型肺胞上皮細胞が産生し、肺胞マクロファージを分化、成熟させる働きをもつ。
正常な状態では二型肺胞上皮細胞から放出されるGM-CSFが肺胞マクロファージと結合してマクロファージを成熟させる。成熟したマクロファージはサーファクタントを貪食して異化する。
しかし、肺胞蛋白症の人ではGM-CSFに対する抗体が産生されてしまい、マクロファージの分化がうまくできなくなってしまう。すると余分なサーファクタントの取り込み、分解もされなくなり、サーファクタントが異常に貯留してしまう。
【検査所見】
X線:左右対称のすりガラス様陰影
胸部CT:メロン皮状の網目陰影
気管支肺胞洗浄液:ミルク状または米とぎ汁状