つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

リネゾリドの作用機序

■リネゾリド(ザイボックス)とは…

VRE感染症(バンコマイシ耐性腸球菌)に対する特効薬として承認された最後のとりでとなる薬。耐性菌の発現を防ぐために適正使用することが強く求められる。なおリネゾリドはMRSA感染症に対する効果も優れており、MRSAへの適応拡大が近年承認された。長期投与時には高頻度に骨髄抑制が発生するので14日を超える場合には慎重に投与し、原則として28日を超える投与は行うべきではない。

 

■作用機序

細菌の増殖につながるタンパク質合成を初期段階、つまり細菌のリボソーム50Sサブユニットと特異的に結合し、機能性70S開始複合体の形成を阻害する。従来の抗生物質とはまったく異なる作用機序を持っているので、他の抗生物質が効かない細菌に対しても抗菌力を発揮する。また、既存の抗菌薬と交叉耐性を示さないことが示唆される。

 

■おまけ

骨髄抑制の発現機序としては不明な点も多いが…

・動物試験において認められた造血器系に対する毒性所見は回復性のある変化

・遺伝毒性試験成績からリネゾリドは染色体異常及び遺伝毒性を誘発しない

・抗菌活性の作用がクロラムフェニコールと異なる。

このような理由から、ヒトにおいて2週間以上投与すると骨髄抑制が起こるものの、それは回復性がある軽微な血小板減少であり、再生不良性貧血を含めた造血器系に対する重篤な副作用の発現の可能性は低いと考えられる。