つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

多発性硬化症の病態生理

多発性硬化症とは…

中枢神経系の白質の至る所に炎症性の脱髄性病変が発生し、様々な神経症状が再発と寛解を繰り返す。グリア繊維の増加による瘢痕・硬化性病変が特徴である。多くの場合、随証特異的な自己抗体が存在し、これが直接的に脱髄を促進するとともに、随証の破片を処理するマクロファージやミクログリアを刺激している。病変が進行すると、長命なアストロサイトの増殖が見られる(=グリオーシス)。残ったオリゴデンドロサイトが残存している裸の軸索を部分的に再髄鞘化することもある。通常は中枢神経のみが障害され、末梢神経の機能は温存される。日本の患者数は1万人ほど、米国では30〜40万人。北欧や北米に多い。

 

 

何が起きてるのか順に書いてみると・・・

1:ウィルス感染によりT細胞が事故のオリゴデンドロサイトを抗原と誤って認識

2:なんらかの機序で自己免疫性T細胞は血液脳関門を通過

3:自己免疫性T細胞がサイトカインを分泌し、周囲のマクロファージやキラーT細胞が活性化され、オリゴンデンドロサイトや髄鞘を攻撃。B細胞もオリゴデンドロサイトに対する抗体を産生

4:その結果、髄鞘やオリゴデンドロサイトは障害されて脱髄が起こる。

 

Q、視神経が障害される理由

多発性硬化症では中枢神経の随証を構成するオリゴデンドロサイトが障害される。一方で、末梢神経の随証を構成するシュワン細胞は障害されない。脳神経といえば、一般的に末梢神経に分類されるが、視神経はなぜ多発性硬化症で傷害されるのかというと、視神経の随証はオリゴデンドロサイトで構成されているからである。