副神経麻痺の原因とミカタ
第Ⅺ神経である副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する運動神経である。副神経という名前は迷走神経のアクセサリーという意味で、発生状も迷走神経と同じ第4〜6鰓弓神経に由来する。
副神経は、延髄から出る延髄根と脊髄から出る脊髄根とに区別される。このうち、延髄根からの繊維は内枝となって迷走神経に合流し、咽頭や喉頭の筋に分布する。一方、脊髄根からの繊維は外枝となり大後頭孔から頭蓋腔に入った後、頚静脈孔から再び頭蓋腔外にでて僧帽筋や胸鎖乳突筋に分布する。
◯副神経が障害されると、
1:僧帽筋の麻痺による肩甲骨の下垂
2:胸鎖乳突筋の麻痺による首の健側への回旋障害
を生じる。
◯副神経麻痺の原因
一側の副神経麻痺は頭蓋底を侵す髄膜炎や腫瘍などによる末梢性障害などが多い。一方で、両側の副神経麻痺は炎症や多発性硬化症などによる核性障害によっておこることが多い。いずれも副神経のみの単独麻痺は極めて稀であり、迷走神経や舌下神経とともに障害されることがほとんど。
・僧帽筋麻痺の見方
患者に肩の力を抜いて直立してもらう。両側の肩と、両手の指先の位置を確認する。麻痺があると麻痺側の肩が下がり、麻痺側の指先も健側に比べるとより低位になっている。更に背部を観察すると麻痺側の肩甲骨が外下方に偏位を認める。最後に患者の肩を上から抑えた状態で両肩を挙上してもらい力の左右差がないか確かめる。
・胸鎖乳突筋麻痺の見方
前提的な知識として、左の胸鎖乳突筋は首を右に回旋させる。右の胸鎖乳突筋は首を左に回旋させる。
検査の方法としてはまず、検者の左手を患者の右下顎に当て、検者右手を左の胸鎖乳突筋にあてる。そして患者に頭を右に回旋してもらい、左手で受ける頭の回旋する力と右手で感じる左胸鎖乳突筋の収縮の強さを確かめる。例えばもし患者の左の胸鎖乳突筋の麻痺があれば検者の左で感じる力は低下しており、右手で触っている胸鎖乳突筋の収縮力も減弱しているはずである。左右両方行い、左右差がないか比較する。
【胸鎖乳突筋のイメージ↓】
写真では右の胸鎖乳突筋が収縮している。
参考元:http://sakai-seitai.com/stretch-to-loosen-stiffness-sternocleidomastoid/
胸鎖乳突筋、僧帽筋の萎縮が見られたら筋肉または運動ニューロン障害を示唆する。頸部の回旋には頭板状筋も関与しているので萎縮がある=筋力低下とはならないこともある。
また追記します。。