内臓痛と体性痛、関連痛の違い
内臓痛:
管腔臓器の筋層や漿膜が過伸展、異常収縮することで生じる。実質臓器の急激な腫大で皮膜が進展された場合にも生じる。症状としては、どこが痛いのかはっきりしない。重苦しい鈍痛、締め付けられるような感じ。悪心、冷汗などを伴うこともある。
体性痛:
壁側腹膜、腸間膜、横隔膜に炎症や刺激が及んで生じる。
症状としては、局在がはっきりした鋭い持続痛。腹膜刺激症状が出現することがある。体を動かすと痛みが増強することも。
関連痛(放散痛):
強い内臓痛が脊髄内で隣接する神経線維を刺激し、対応する皮膚分節に痛みが投影される。腹部以外に生じることもある。
おまけ:
急性虫垂炎の痛みが心窩部から右下腹部へと移動するのは有名であるが、これは痛みの分類で言えば内臓痛から体性痛になったということもできる。
初期には虫垂内圧の上昇に伴う内臓痛が生じ、心窩部や臍部に漠然とした痛みが生じる
初期の腹痛から数時間が経過すると、虫垂の炎症が壁側腹膜にまでおよび、右下腹部に限局した体性痛や圧痛を生じるようになる。また、腹膜刺激症状を停止、反跳痛や筋性防御などが認められるようになる。