梅毒の検査法:TPHA,STSについて
梅毒に感染しているかどうかを調べるには…
血清梅毒反応という方法がもちいられる。簡単に言うと、梅毒感染後に体内で産生され血清中に出現した抗体と、検査試料の抗原との反応を利用する検査である。
血清梅毒反応には二種類あり、ひとつは脂質抗原法、もうひとつは梅毒トレポネーマ抗原法と呼ばれている。
1つめの脂質抗原法(STS)とは…
カルジオリピンという脂質を光源としてそれに反応する抗体を検出する方法である。非特異的な脂質であるため、SLEや妊娠など、梅毒以外でも陽性となることがある。(そのことを生物学的偽陽性という。)しかし現在では、梅毒の確定診断のためには梅毒トレポネーマ抗原を使う特異的血清反応が用いられ、APSの診断のためにはELISAによる抗CL-β2-GPI抗体検査、さらにLA検査を実施することで鑑別することが可能である。
2つめのTPHAとは、T.pallidumの菌体成分を付着させたヒツジ赤血球の凝集反応をみる。TPHAとはtreponema pallidum hemagglutination testの略で日本語で言うと梅毒トレポネーマ感作赤血球凝集試験である。
通常はSTSとTPHAを組み合わせて判断する。(STSは偽陽性である可能性がある)
また、STSとTPHA両方が陰性と出ても感染早期の可能性があるため数週間後に再検査する必要がある。