心不全のフラミンガム基準とは
フラミンガム基準とは、心不全という症候群の客観的な基準をつくった唯一の研究で、現在でも心不全の診断の際に広く用いられている。(心不全は病気の名前ではなくあくまで症候群。)心不全の原因として虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、心筋症などがある。
診断 :大症状2つか,大症状1つおよび小症状2つ以上を心不全とする。
大症状
発作性夜間呼吸困難または起座呼吸:心不全が進行すると、安静時にも呼吸困難症状が出現し、起座呼吸と発作性夜間呼吸困難が見られるようになる。仰臥位では静脈還流量が増加するため、肺うっ血が助長され、呼吸困難が増悪する。
頚静脈怒張:頸静脈怒張は右心系への静脈還流が傷害されることで起こる。
ラ音:胸郭内に由来する以上呼吸音(複雑音)のこと。連続性と断続性に分けられる。
心拡大:心臓の拡大
急性肺水腫:肺の実質(肺胞、気管支)に水分が染みだして溜まった状態。 心不全では、溜まった水分により呼吸が障害され、呼吸不全症状を引き起こす。
S3 gallop:通常の心臓の拍動リズムに余計な音が加わり、3拍子になっている状態。奔馬調律とも言う。ちなみに読み方は「ほんばちょうりつ」笑
静脈圧上昇(16cmH2O):心機能が低下して拍出量が少なくなったことを感知した生体は、全身循環量を増やすことでカバーしようとする。しかし、心臓はポンプ機能が弱まっているので、逆に心室より前の心房や静脈に血液がどんどん貯まることにより静脈圧は上昇する。
循環時間延長(25秒以上):血液が心臓から動脈、毛細血管、静脈と流れて心臓に戻ってくるのは通常20秒ほど。
肝頚静脈逆流:静脈圧が高いと肝うっ血をきたし、肝臓の位置を押すと静脈圧が更に高まるため頚静脈の怒張が増強する。これを肝頚静脈逆流という。肝頚静脈逆流は肝臓にかぎらず腹部全体のどこを圧迫しても起こるため現在ではabdominojugular testとも呼ばれる。
小症状
下腿浮腫
夜間咳嗽
労作性呼吸困難
肝腫大
胸水貯留
肺活量が最大値の1/3以下
頻脈(120/min以上)
大症状または小症状
5日間で4.5kg以上の治療による体重減少