つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

ASTとALTの違い:半減期について

AST、ALTはいずれもトランスアミナーゼとよばれる酵素で、人体の重要な構成要素であるアミノ酸をつくる働きをしている。トランスアミナーゼは肝細胞中に圧倒的に多く存在しているため、主に肝細胞傷害で血中に逸脱し、酵素活性が上昇する。よって肝臓が傷害されたかどうかを調べるためにASTやALTの量を調べるのである。

 

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ASTとALTの最大の違いは由来する臓器の違いである。ALTは主に肝臓に存在するが、ASTは肝臓のみならず心筋や骨格筋、赤血球などにも広く存在する。

AST、ALTがともに高値を示す場合、あるいはALTが単独で高値を示す場合は肝障害の可能性が高くなります。逆に、ASTが圧倒的に優位に高値を示す場合は心筋梗塞や筋疾患、溶血性貧血など肝臓以外の臓器の障害が考えられるわけである。

(尚、ASTは激しい運動の直後、あるいは採血時の溶血によって赤血球中より逸脱し高い値を示すことがあるので注意)

 

ところで、血中半減期はASTでは11~15時間、ALTでは40~50時間といわれ、随分と違いがある。この差異は臨床では非常に重要。肝臓が一斉に破壊される急性肝炎や、慢性肝炎の急性増悪の際、この半減期の差のために、病初期は AST>ALT を呈し、後期は逆転して AST<ALT と なる。

(病初期にAST>ALTとなるのはそもそも肝臓にはASTの方が多いから。)

(ASTは半減期が短いので後期ではほとんどなくなってしまっている。)

 

また、アルコール性肝障害ではAST優位が特徴で、AST/ALT比が2近くまで上昇します。エタノールによってALT合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリアに及んでAST-m が逸脱するためといわれている。