肺がんでばち指になる理由
肺がんでばち指になる理由
ばち指とは何か
手指または足趾の抹消指節軟部組織の腫大によって、指先が太鼓のばちのようにふくれ、爪が手掌側へ彎曲した徴候をばち指という。
診断法としては主にDIP関節の高さで比べるphalangeal depth ratioがよく用いられている。上記のイラストのように爪床角が180度以上であればばち指が疑われる。またばち指というのは可逆性で原因疾患が治れば正常な指に戻る。
ばち指の原因
呼吸器:肺がん、肺線維症、COPD、気管支拡張症など(80%)
心疾患:先天性心疾患、うっ血性心不全など
消化器:肝細胞癌、肝硬変、クローン病など
頻度としては肺がんが最多であると言われている。
ばち指の機序
指先が太くなるのは巨核球や血小板が指先で詰まり、成長因子を分泌して線維性の血管組織が増殖してしまうからと考えられている。本来、巨核球や血小板は末梢に出てくることはないが、肺がん患者の場合は肺の毛細血管が損傷しており、肺の毛細血管でトラップされるはずの巨核球や血小板がそのまま肺をスルーして末梢に到達してしまう。(健常者であれば骨髄からでた巨核球は体循環に入ると静脈、心臓を介して肺に送られ、肺の毛細血管で補足されて小さな血小板片になる。しかし、肺に炎症などがあり肺毛細血管に穴が開いてるとそこでトラップされないまま肺動脈に流れ込み、大動脈を経て末梢(つまり指先)にまで流れ着いてしまう)