つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

中枢神経系の機能まとめ

中枢神経
要点まとめ

解剖・機能

■神経組織(脳幹の構成要素、グリア細胞4つ、シュワンとオリゴデンドロの巻き方の違い)


・ニューロンとシナプス

中脳・橋・延髄この3つで脳幹という。
海馬に神経幹細胞の存在。
人が賢くなるのは神経細胞の増加ではなくシナプスの可塑性。

・神経細胞のさや

末しょう神経ではシュワン細胞が、中枢神経ではオリゴデンドロサイトが軸索に巻き付き髄鞘を形成。
1つのシュワン細胞は髄鞘の一分節(1:1)
中枢鵜神経では一つのオリゴデンドロサイトが複数の軸索に巻き付き髄鞘を形成(1:多数)

・グリア細胞
上衣細胞・・・脳室の表面を覆う。
アストロサイト・・・栄養や代謝を管理。
オリゴデンドロサイト・・・髄鞘を形成
ミクログリア・・・免疫系

☆上衣細胞・・・上衣細胞の表面には多数の繊毛が生えており、脳室内での脳脊髄液の循環、脳室から脳実質への物質輸送等の機能を有していると考えられる。


■灰白質と白質(大脳と脊髄どっちが内側、外側?)

大脳の場合、外側が灰白質、内側が白質
脊髄の場合、外側が白質、内側が灰白質



■大脳(大脳鎌、シルビウス溝のポジション)

大脳鎌によって左右の半球に分けられる。しかし根っこの部分は脳梁でつながっている。
前頭葉と側頭葉を分けている溝の事をsylvius溝という。

■前頭葉の3つの部位・役割、そして傷害されると?

前頭葉とは中心溝よりも前の部分。

・運動野・・身体各部の随意運動を司る運動神経細胞がある。錐体路のの出発点はここ。

・運動前野・・運動野の前にある。運動プログラミングを担当していて、どの筋をどのたいみんぐでつかうかというコントロール機能。

・前頭連合野・・運動前野の前にある。脳の最高中枢で遂行機能を持つ。何か考えて実行する。(前頭連合野の一部にbroca野がある。)

前頭連合野が障害されると、脳高次機能障害。発動性の低下。モリア(児戯的な態度)。keiji is not what he was.




■側頭葉の機能(聴覚・言語・視覚それぞれ)





□聴覚に関する機能(聴覚野と聴覚周辺野、それぞれの障害)

聴覚野・・聴覚伝導路の終点で、音を音として感じる。
聴覚周辺野・・聞こえた音の意味を認知する

皮質聾・・・両側聴覚野が障害されて聴覚伝導路は正常であるにもかかわらず、音に気づかなくなる事。
環境音失認・・聴覚周辺野が障害されると、音を聞いてもその意味が分からなくなる。(これは片側の障害でも出現する)



□言語に関する機能(何という部位が?)

聴覚周辺野の少し後ろの部分にはウェルニッケ野が存在し、その障害によってウェルニッケ失語などが生じる。



□視覚に関する機能

見えた物を感じ取るのは後頭葉の視覚野だが、側頭葉には視覚野からの神経繊維が伸びている。
よって、両側後頭葉だけでなく側頭連合野の障害でも視覚性失認が起こる。→聴覚と視覚が機能しないと幻覚(幻聴+幻視)の出現。

また、網膜から出ている視放線が側頭葉内部を通って視覚野にいくので、側頭葉が障害されると反対側の上1/4同名半盲になる。





■側頭葉の内面には何がある?




側頭葉の内面には海馬傍回や鉤、さらにその内部に海馬と扁桃体がある。
海馬と扁桃体およびその周辺領域は辺縁系と呼ばれている。もともとは脳幹の辺縁に位置するという意味。全てのほ乳類にあるので旧皮質とも。


■辺縁系(扁桃体+海馬)の役割、サルにおいて切除すると?


扁桃体は情動形成において重要で、何かの外界の刺激に対してふさわしい対応をしようとする。(例:刃物を持った男が近づく→逃げようとする)
人間の場合は前頭連合野で一度プログラミングを受ける事が多いので、よっぽどの緊急事以外はすぐに行動に移すことはない。

海馬の機能・・・海馬は大脳からのあらゆる情報を一時的に蓄えておく場所(2〜4週間)
長期記憶する際は間脳を経由して大脳の連合野にある専用の記憶貯蔵庫に送られ何らかの処理が加えられて固定化される。
記憶がいったん固定化されると海馬とは関係なく取り出す事が出来るようになる。


因みにサルの辺縁系を切除すると、
精神盲・・新しい情報が過去に学習したこととつながらない
視覚性過敏反応・・視野に入ったものの全ての変化に異常な関心を示す。
異常性欲・・同性とも交尾しようとする。
口唇傾向・・何でも口に入れようとする
などがみられる。これらは報告者に因んでkuluver-bucy症候群と呼ばれる。

■側頭葉が障害されると・・

皮質聾
環境音失認
ウェルニッケ失語
視覚性失認の一部
幻覚
反対側上1/4の同名半盲

■後頭葉の機能、障害


後頭葉は見る事とそれに関連する機能を持つ。
後頭葉の一番後ろに鳥距溝とよばれる溝があり、これを覆うように視覚伝導路の終着点である一次視覚野がある。ここでみたものを認識できる。→障害すると同名半盲
そして一次視覚野の近くに二次視覚野があり、見た物を過去の記憶と位置させて何かを認識している。→障害すると視覚性失認

■頭頂葉とその機能


頭頂葉には感覚野と頭頂連合野がある。

前頭葉の運動野の後ろ側に感覚野がある。

頭頂連合野には上頭頂小葉と下頭頂小葉(各回+縁上回)がある。上頭頂小葉では空間認知を、下頭頂小葉では情報の結合(ex.黄色くて細長い果物と言われてバナナをイメージする)


■大脳基底核の役割、構成、入出力


大脳基底核は大脳皮質の運動等をコントロールしている。
前頭葉の運動野に発する神経が運動機能を担っているが、ピアノを弾いたり歯を磨いたりといった複雑なコントロールを必要とする運動の際には運動野だけでは無理。
大脳基底核は大脳皮質の幅広い領域から情報を入力され、処理し、大脳皮質に送り返すというルートを持っている。これを大脳皮質・大脳基底核ループという。
大脳基底核は線条体、淡蒼球、黒質、視床下核からなる。
大脳皮質からの入力を受けるのは、線条体・視床下核。大脳皮質への出力をするのは淡蒼球・黒質。(戦場で死傷して入って、色を付けて出て行く)
被核と淡蒼球を会わせる凸レンズのように見えるのでレンズ核。
線条体=尾状核+被殻。

内包には神経繊維の集合体が走っている。東京駅と上野駅の間に無数の線路が走っているような物。
内包は前脚と後脚に分ける事が出来る。前脚は視床と前頭葉を結ぶ。後脚は錐体路、頭頂葉、後頭葉と脳幹を結ぶ繊維が走っている。



■間脳とは

間脳は左右の大脳半球に挟まれていて外部から見る事は出来ない。
間脳は視床と視床下部から形成される。

△視床の3つの役割
視床は灰白質の固まり、つまり神経細胞体の集合である。
1:嗅覚をのぞく全ての感覚神経の処理。
2:運動の中継核
3:高次機能への関与






■小脳の構造

背側から見ると
左右の小脳半球とそれに挟まれた小脳虫部に分ける事が出来る。

腹側から見ると
小脳は脳幹と3つの部位でつながっている。
上小脳脚、中小脳脚、下小脳脚はそれぞれ中脳、橋、延髄とつながっている。





■小脳の入出力

小脳への入力は

登上繊維と苔状繊維のふたつがある。
登上繊維:下オリーブ核より発し、プルキンエ細胞を一対一で支配。
苔状繊維:脊髄、大脳(橋を経て)、前庭核からの入力を受けて(脊髄小脳路、橋小脳路、前庭小脳路)顆粒細胞とシナプスを作り間接的に多数のプルキンエ細胞を支配する。

下オリーブ核➡登上繊維➡プルキンエ
脊髄、大脳、前庭核➡苔状繊維➡顆粒細胞➡プルキンエ




小脳からの出力

プルキンエ細胞は抑制性のニューロンで、小脳核を介して前庭、脊髄、大脳(橋)に投射される。

主な物は3つ
プルキンエ➡
1:歯状核➡視床➡大脳(史上最強な大王・・)   @小脳半球
2:中位核➡赤核➡脊髄     @小脳虫部
3:室頂核➡前庭➡脊髄     @小脳虫部

■小脳の機能
解剖学的に小脳は小脳虫部と小脳半球に分けられる。

小脳虫部の役割
1、体の各部位から体性感覚情報を受け取り(脊髄小脳路)、自己の置かれた状況を認識して中位核、室頂核を介して脊髄に対応を促す。
2、前庭からの情報を得て(前庭小脳路)、平衡感覚を捉え、前庭神経核に投射。
つまり脊髄や前庭と密接な連絡➡障害すると体幹失調


小脳半球の役割
大脳(橋)からの情報を受け取り、歯状核を介して運動野を中心に投射する。
つまり大脳と密接な連絡➡障害すると運動失調




■脳を覆う膜

外側から順に硬膜、くも膜、クモ膜下腔、軟膜、脳実質。くも膜下腔は髄液で満たされている。




■血液脳関門の仕組み、そしてそれが無い場所

脳の毛細血管は内皮細胞がタイトジャンクションで密着して繋がっているために物質が自由に行き来することの内容になっている。ただし例外がある。脈絡叢、下垂体、松下体など。
脈絡叢では髄液を、下垂体や松下体ではホルモンを産生して分泌する必要があるので、ここでは血液脳関門は存在しない。


■脳血管(ウィリスの動脈輪を形成する血管は?心臓から脳に向かう血管は?大脳基底核を還流している動脈は?)

心臓から脳に向かう血管は総頸動脈・椎骨動脈がある。

総頸動脈からは
外頸動脈(頭蓋骨の外側を還流)
内頸動脈(脳内を還流)
に分岐

椎骨動脈は鎖骨下動脈で分岐して上行する。

前交通動脈・後交通動脈・後大脳動脈によって囲まれている輪の部分をwillisの動脈輪という。

内頸動脈から枝分かれした中大脳動脈から更にレンズ核線条体動脈が分かれており、これが大脳基底核や内包を還流していて脳内出血の原因となる動脈である。