つねぴーblog@内科専門医

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コーラを飲むと歯や骨が溶けるのは本当か?

コーラを飲むと骨や歯が溶けるのは本当か?



こういう話は割合都市伝説のような形で伝えられていたりするが実際どうなのであろう。

まず、歯に関してだが主成分はリン酸カルシウム及びリン酸マグネシウムである。
「溶ける」とはどういうことかというとコーラの酸によってリン酸カルシウムが分解されてしまうと言うことではないだろうか。だが「コーラを飲んでて歯が無くなりました」という話も聞いた試しがない。



このことに関してコカコーラ社が公式見解を出している。

Q2コカ・コーラを飲むと虫歯になったり骨や歯が溶けるって本当?

A虫歯は歯の質、食べカス、細菌の活動、時間の4条件が重なった時になります。確かに砂糖などの糖分は虫歯の原因の一つですが、コカ・コーラのように液状のものは口の中を素早く通り過ぎるので、歯にくっつきやすいものと比べ虫歯をつくりにくいと言えるでしょう。
また歯や骨はリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムが主な成分となっています。これらは酸に溶ける性質を持っており、酸を含んだ液体に長時間つけておくと溶け出すのは当然の現象なのです。コカ・コーラをはじめ清涼飲料水にも酸味料が含まれていますが、人間の骨に直接触れたりはしません。歯に触れているのも短時間で、しかも唾液の希釈や中和作用によって守られているので安心してお飲みいただけます。

歯に触れているのも短時間で、しかも唾液の希釈や中和作用によって守られているので安心してお飲みいただけます。

この部分がポイントなのであるが、つまり少しは溶けてしまうのである・・・。
歯というのは表面をエナメル質というもので覆われているのだが、これが溶け出るpHは5.5以下と言われている。
そしてコーラのpHは2.2である。よって歯のエナメル質は溶けてしまうのである。しかし、唾液によって中和されると唾液に含まれるカルシウムが再び再石灰化を起こして溶け出たエナメル質は元に修復される。

ここまで書くと「それでは結局コーラを飲んでも大丈夫じゃないか」と思われるかもしれない。
しかしそれは正しくない。

コーラを飲んだ後はエナメル質が溶け出ていて歯が軟化しているのだが、このタイミングで歯を磨くと歯が削れてしまうのである。対策としてはコーラを飲んだら30分は歯を磨かない、そして水でよく口をゆすいでから磨くべきであろう。

また、共同通信のニュースから一部引用すると

下の奥歯に痛みを訴え東京医科歯科大 病院を受診した男性(62)。奥歯表面のエナメル質が溶けてクレーターのような穴がいくつも開き、象牙質が露出していた。問診の結果、毎朝のジョギング後、1年半にわたって黒酢を飲み続けてきたことが判明。

との症例もあるにはある。酸性の高い飲み物を習慣的に飲み続けると歯が実際に溶けてしまい、内部の象牙質が露出してしまったということである。

勿論、「酸性の高い飲料を飲むな」と言っているわけではないが、実際に炭酸飲料で少しずつ歯が溶けると言うことは知っておいて損はないと思う。


ちなみにコーラ以外の食品・飲料水のpH一覧を載せておく。


胃酸のpHが1〜2にたいし
レモン2.1
コーラ2.2
栄養ドリンク2.5
グレープフルーツ3.2
スポーツドリンク3.5
ヨーグルト4.1
ビール4.3
缶コーヒー6.2

等々であるようだ。pH(ペーハー)とは酸性の強さを示し、この値が小さいほど強力な酸であり、7に近いほど中性であることを示している。繰り返しになるが、歯の表面のエナメル質を溶かす酸はpHが5.5以下と言われている。上に挙げた飲食物では缶コーヒー以外全てのものが歯を溶かしうることがわかる。コーラはその中でも酸性度が大きいので歯を溶かしやすいことが解るが、他の食べ物でも十分歯を溶かす可能性があることが解ると思う。

ちなみに骨に関しては根拠のない都市伝説であると思われる。