つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

日常で見られるヘンリーの法則

ヘンリーの法則とはみなさんご存じでしょうか。

揮発性の溶質を含む希薄溶液が気相と平衡にあるときには、 気相内の溶質の分圧pは溶液中の濃度cに比例する

で定義される気体の法則です。こういう法則はなんだか抽象的で初めて聞いたときにはイメージしにくいかもしれませんが、こういう法則こそ、日常における適用例を挙げることによって深く理解出来ると思います。

現実世界での適用例1:炭酸飲料

ビールやコーラなどの炭酸飲料を考えてみましょう。あれは開けるとシュカッとなって泡がぷくぷくと出てきますね。これはふたが未開封の状態では高圧状態になっており、炭酸が液体中に溶けています。しかし、ふたをあけて圧力が低下すると、その分だけ炭酸は液体に溶けなくなるので、泡となって出てくるのです。文字通りp=K・xに当てはまりますね。(気体の分圧=定数×液体中のモル濃度)

現実世界での適用例2:潜水病

潜水病とはスキューバーダイビングなどで海の深いところに潜った後に水面に急激に戻ると発症する症状です。どういう事かと言いますと、深い海では水圧が高く、血液の中に窒素などが相当溶け込みます。その後急激に地上に戻ると圧力が低下するので、窒素の溶ける量が減ります(ヘンリーの法則より)ですから血液中に窒素の液胞が出来、血液循環を妨害してしまうのです。これを防ぐには少しずつ水圧を下げていくしか有りません。なお、酸素やCO2の場合は肺からすぐに放出されるので問題有りません。

現実での適用例3:酸素カプセル

よく野球選手、サッカー選手などが酸素カプセルに入ってけがの回復が早くなった、疲れがとれたなどというニュースを耳にしたりしますが、あれにもちゃんと科学的な根拠があったのです。つまり、酸素分圧が高いと血液に溶ける酸素量が増えます。そうすると、通常の酸素分圧下では不可能なほど体の隅々にまで酸素を運ぶことが出来ます。(つまり、ヘモグロビン結合型の酸素とは違い、血液溶解型の酸素です。)これによって疲労回復促進と言われています!!(効能の程は賛否両論有りますが、ここでは趣旨と外れるため割愛させていただきます)



どうでしょうか、ヘンリーの法則もこれだけの日常の適用例をイメージできれば身近に感じられるのではないでしょうか?