つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

ICRマウスとC57BL/6マウスについて

私の研究室でICRと呼ばれるマウスとC57BL/6と呼ばれるマウスで皆さん研究を行っています。ICRーマウスはアルビノで白色でおとなしい、Bl-6マウスは黒色で少し賢いぐらいの認識しかなかったのですが、興味本位でそれぞれどういう特徴、由来などがあるか調べてまとめてみました。


■近郊系とクローズドの違い
・近交系マウス

近交系、英語で言うならばinbred strain。聞いたことはあるでしょうか?これは長期間(20世代ほど)、近親交配を繰り返して、遺伝的な差をなくした動物のことをいいます。多くの基礎研究機関においては近交系動物を使っていると思います。なぜならマウス間によって遺伝的な違いがないので、再現性が高いからです。すなわち、たとえばある実験を繰り返し行うときに、マウスを変えるごとに違う結果が出てしまったら研究にならないからです。ですから、ある種のスタンダードとして、確立されたものなのです。

・クローズドコロニーマウス

 5年以上外部から種動物を導入することなく一定の集団内のみで繁殖を続け、常時実験動物供試動物の生産を行っている群のことです。この系には近交系マウスを起源に用いるものと、そうでないものとがありますが、いずれもその集団内でヘテロ性が失われないような交雑を行い、一定集団内で雑種マウスを生産するとういことになります。そのため、一定範囲外の遺伝子は導入されない閉鎖群なのです。逆に言えば、集団内に遺伝的変異が一定の割合で維持されるともいえるかもしれません。この系のマウスには、ICRやddY等があり、量的実験に用いられます。

■ICRマウスについて

ICRマウスは1948年にDr. T.S. Hauschka がフィラデルフィアの The Institute for Cancer Researchで樹立された物のようです。まさかがん研究機関の略語だったなんて意外すぎて失神級ですね。

特徴としては、比較的大型・発育良好・性格は温順なアルビノマウスだそうです。

また、アルビノマウスのためにメラニンが合成できず、目の虹彩にもにも色素が出来ません。ですから血管が透けて見えて目が赤いのです。同様に白いウサギの目が赤いのはアルビノであるからというのはあまり知られていなかったりします。(因みに新世紀エヴァンゲリオンの綾波レイの目が赤く髪が白いのはアルビノである説は公式に否定されています(笑

更にICRはアルビノであるが故に目が悪く、そのために攻撃性、俊敏性が低いらしいです。
僕としてはただおとなしい奴とぐらいにしか思っていませんでしたが。


■ブラック6マウスについて

C57BL/6JのJがジャクソン研究所にちなんで
C57BL/6NのNがNIHにちなんでいるというのは個人的にはトリビアでした。

これはC57ブラックやただ単にブラック6など様々な呼ばれ方がしますよね。

特徴としては、遺伝子配列情報が完成しているので正確な塩基配列が使用できる。
ターゲッティングベクター構築の際にも重要なPointsのシークエンス確認が可能となる。
表現型解析の際にも遺伝子発現解析が使用可能、行動解析の文献データも豊富である。

などがあるそうです。