つねぴーblog@内科専門医

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肝性脳症でラクツロースを用いる理由

肝性脳症とは高度の肝臓障害により意識障害、羽ばたき振戦などを始めとした様々な精神症状をきたす症候群である。劇症肝炎や肝硬変が主な原因。

 

【肝性脳症の病態】

肝機能が正常であれば、腸管から吸収された毒素を解毒することができるが、肝機能が低下している場合、あるいは門脈と体循環系にシャントがあり肝臓による解毒が行われない場合はアンモニア等の毒素が全身をめぐり中毒症状を引き起こしてしまうのである。

 

肝性脳症の治療薬としてラクツロースが用いられるが、その作用機序はいかに。

ラクツロースとはガラクトースとフルクトースからなる合成二糖類であり、これを経口投与すると腸内細菌によって乳酸に分解される。乳酸は酸性物質であるのでH+を提供し、腸内細菌叢が作り出したアンモニアNH3と結合してアンモニウムイオンNH4+となる。NH4+はアンモニアと異なり細胞膜を通過できないために消化管から吸収されずに便として排泄される。よってラクツロースは肝性脳症の原因物質の1つであるアンモニアの吸収を抑制することができるのである。

膝蓋跳動とは何か

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イラスト出典:膝蓋骨骨折の症状・診断・治療 [骨・筋肉・関節の病気] All About

 

半月板損傷や十字靭帯損傷などでは関節で炎症が起こるために関節内に水のたまる関節水腫の状態になる。関節水腫を他覚的に確かめる方法としては、膝関節上部を手で圧迫しながら側方も圧迫すると、膝蓋骨と大腿骨関節面の間に関節貯留液が入り込むので、膝蓋骨が浮き上がることにより関節内の液体貯留を示すことができる。

 

またこの時に、膝蓋骨を前から大腿骨に向かって押し付けると貯留液が内側あるいは外側の関節腔に逃げようとするのがわかり、更に膝蓋骨が上下に動いて踊るような様子を指で感じ取ることもできる。この様子を膝蓋跳動陽性と言うのである。