eGFR低下による症状
eGFR(=推定糸球体濾過量)とは
GFRの検査として一般的なクレアチニンクリアランスの測定には24時間の蓄尿や採血が必要。しかし、血清Cre、年齢、性別によって簡単にGFRを推定することができる(=eGFR)。
男性のeGFRの推定式=194×(Cr^-1.094)×(年齢^-0.287)
女性のeGFRの推定式=194×(Cr^-1.094)×(年齢^-0.287)×0.739
↑の^は乗数を意味する
eGFRは慢性腎不全のステージ分類に用いられるが、eGFR低下によって具体的にどのようなことがおこるのか。
50以下になるとうまく濾過できなくなるために血中BUNとCreが上昇し始める。
20以下になるとイオンを排泄できなくなり、高カリウム血漿、アシドーシスになる。
10以下では尿毒症となり活力低下、昏睡状態となる。
腎前性腎不全と腎性腎不全の鑑別
腎前性腎不全と腎性腎不全はどう違うのか
急性腎不全では腎臓が急激に機能低下することにより、濾過されなくなり尿量が減る。するとBUNやクレアチニンが上昇。尿細管での排出能力も落ちるのでカリウム上昇やアシドーシスになる。
急性腎不全の原因として腎前性、腎性、腎後性がある。
原因としては、
腎前性は文字通り腎臓の前の段階に問題がある。すなわち腎臓への血流が低下したことにより腎臓が機能しなくなる。つまりはショック状態である。
一方、腎性の場合、アミノグリコシド・アムホテリシンBなどの薬剤が原因で腎臓がダメージを受ける。もしくは腎前性腎不全のショックにより腎性腎不全を引き起こすこともある(腎臓を栄養する血液が来ないので急性尿細管壊死となる)。
尿の濃さの違い
腎前性では少ない尿量でがんばって沢山の溶質を出すので尿は当然濃くなる。Uosm≧500
尿の浸透圧/血漿浸透圧の比率=U/P>1.5である。(←つまり尿の浸透圧が濃いということ)
腎性では来た尿がそのままダラーッと通過するイメージ。濃縮されない垂れ流し。
U/P比≒1.0 Uosm≒300。
尿中ナトリウム濃度の違い
腎前性では血液量が少ない状態なので、糸球体血液量を増やそうという代償が働き、ナトリウムの再吸収が亢進する=水も一緒に再吸収される。
腎性では尿細管が死んでるのでナトリウムの再吸収ができずに垂れ流し状態。よって尿ナトリウムは濃くなる。
U/P比率(=尿/血漿)の違い
クレアチニンとBUNはそれぞれ尿と血漿どっちが濃いか
腎前性ではCre≧40,BUN≧20
腎性ではcre≦20,BUN≦20
である。
大事なことは腎前性では腎臓は生きている。腎性では腎は死んでいるというイメージ
それでは腎後性腎不全とは?
尿路の通過障害により尿がうっ滞することで生じる急性腎不全である。尿がうっ滞することにより腎盂が拡大して水腎症。水腎症により尿細管が破壊されてしまうと病態としては腎性腎不全とおなじになる。
尿がうっ滞する原因については
を参照