つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

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MRSA感染症をいつ疑うか

MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のこと。 通常の黄色ブドウ球菌と異なり多くのペニシリン系やセフェム系抗生物質に耐性を示す。MRSAは常在細菌であり医師や看護師などの医療従事者の2〜3割は保菌していると言われる。MRSA自体の病原性は決して高くは…

ロキソニンとセレコックスの違い

代表的なNSAIDSであるロキソニンとセレコックスの違い ・基礎的な話(COX1とCOX2の違い) NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)はアラキドン酸からプロスタグランジンを合成する過程に作用するシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで作用を発揮する。 COX…

ショックの原因と鑑別診断

◯ショックの診断 ショック=血圧低下ではない。ショックとは全身の循環障害によって組織の酸素の需要と供給のバランスが破綻して重要臓器のエネルギー需要を満たすことができなくなる状態。 血圧が低い以外にも「いつもより血圧が30以上低い」やショックの5…

テガダーム、ハイドロサイト、デュオアクティブ、ハイドロサイト、ソーブサンの違い

ERでよく使うドレッシング材(被覆材)の整理 ◯テガダーム(ポリウレタンフィルム剤):他のドレッシング材の固定材として用いられることが多い (↓テガダームの一例) テガダームなどのポリウレタンフィルムの特徴は粘着性があること、透明であること、防水…

タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの違い

抗インフルエンザ薬の使い分け タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの違い 作用機序:ノイラミニダーゼ阻害 インフルエンザはヒト体内で増殖する過程においてノイラミニダーゼによって細胞からの遊離をするが、ノイラミニダーゼを阻害することによって…

ショックでは特徴的な皮疹が出る(網状皮斑)

網状皮斑(livedo reticularis)とは末梢の循環不全によって生じる四肢の限局的な領域に赤〜青色に変色した斑点状or網状の皮疹のことである。原因は多岐にわたるが、血流障害や血管壁の問題、その他先天性や特発性がある。 血流障害の例としては心不全やショ…

低酸素症と低酸素血症の違い

低酸素血症と低酸素症は似た言葉であるが異なる概念である。 低酸素血症とは文字通り、血液中の酸素が不足した状態。 血液に酸素が行かないということはつまり、ガス交換する場所である肺に問題がある。 具体的には肺の拡散障害、シャント、換気血流比付近等…

心肺停止にアドレナリン投与の有効性

アドレナリンはα受容体刺激作用とβ受容体刺激作用の両方がある。 α作用…血管収縮up β作用…心筋収縮up アドレナリンは心肺蘇生時において全身の血管を収縮させて、冠動脈血流、脳血流を増加させてくれる働きを期待して用いられる。アドレナリンは長年に渡って…

昨日まで健康だった成人の皮疹+敗血症を見たら

昨日まで健康だった成人の皮疹+敗血症を見たら…? 原因として考えられるものとしては… 1,黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌による毒素性ショック症候群 →黄色ブドウ球菌の傷口からの感染や膣の中のタンポンで増殖して小さな傷口からの血流感染することがあ…

下肢筋力の見方memo

下肢筋力の見方の写真的メモ ◯腸腰筋(イリオソウアス) 股関節を屈曲するように指示し、検者は膝を上から押さえつけて抵抗する力をみる。 ◯大腿四頭筋(クアドリセプス)、膝屈筋群(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋) 画像参考:https://tiryo.net/undoryo…

完全麻痺と不全麻痺の違い

完全麻痺は筋肉が全く収縮できない重度の筋力低下。 不全麻痺は軽度から中等度の筋力低下のことを言う。 徒手筋力テスト(MMT)では完全麻痺はMMT0、不全麻痺はMMT1〜4に該当する。 画像参考:nurseful.jp 当然のことながら、筋力低下とは1つ以上の筋肉…

複視の見方

◯眼球運動の診察について 眼球運動の検査は患者の眼前50cmほどの距離に検者の人差し指を出して、かおを動かさないで見つめてもらう。検者は指を前後左右にゆっくりと動かして、患者の両目が指を終えているか観察する。また、二重に見えないか(複視がない…

尿量低下の原因と対応

尿量低下の原因と対応 ・尿量低下の基準 教科書的には正常尿量は1日1000〜1500mlであり、乏尿は400ml/day以下、無尿は100ml/day以下と定義される。 ICU管理下などではより細かく0.5ml/kg/時間以下の尿量を乏尿とされる。体重50kgの人では1時間25ml以下とい…

ESBL産生菌とは何か

ESBL (extended-spectrum β-lactamases)とは日本語で気質拡張型βラクタマーゼの略である。複数あるβラクタマーゼの総称である故にESBLsと複数形をつけることもある。 【ESBL誕生の流れ】 ペニシリンが使われすぎて細菌がペニシリン分解酵素(ペニシリナーゼ…

セファゾリン、セフメタゾール、セフトリアキソンの違い

セフェム系は第一世代はグラム陽性菌に活性が有り、世代が進むごとにグラム陰性菌もカバーできるようになる代わりにグラム陽性菌へのカバーは悪くなる。 が、同じ世代のセフェムでも抗菌薬ごとに特徴はかなり異なるので注意。 画像参照)https://kusuri-jouh…

発熱性好中球減少症の熱源は?

発熱性好中球減少症(FN)とは好中球500/μl以下の患者が発熱を起こす状態を言う。 FNの患者では症状が明らかではなく、発熱の原因が感染症とはっきりしない状態でも原則細菌感染を想定し、血液培養2セット、尿培養、喀痰培養、血液検査、尿検査、画像検査を…

猫、犬、人咬傷への抗菌薬投与は必要?

猫、犬、人咬傷への対応 ◯まず感染の予防としてまず大量の水道水で洗う 動物咬傷に限らずどんな傷でも言えることではあるが大量の洗浄水でブラッシングしながら洗浄。もしくは生理食塩水に18G針を指して高圧洗浄(ただし200ml以上)。 洗浄をして初めて…

グラム陰性桿菌の覚え方と臨床的な特徴

グラム陰性桿菌の覚え方のゴロ ☆陰性桿菌の覚え方(実用性はなし) 印鑑持って甘美な赤と緑のセーラー服百枚抱いて これらをくれとレジのプロチーフに言った猿 印鑑持って:陰性桿菌 甘美な:カンピロバクター 赤と:赤痢菌 緑の:緑膿菌 セーラー服:セラチ…

オピオイドローテーションとは何か

オピオイドローテーションとは癌性疼痛の患者に対して用いているオピオイドの種類を他の種類のオピオイドに変更することである(オピオイドスイッチングとも)。 オピオイド製剤には色々あるが、特にモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルの3つが代表的。こ…

白血球検査(機械分類と目視法の違い)

白血球測定においては機械分類と目視分類とがある。 名前の通り機械分類は機械を使って大量の白血球を自動で分類してくれる。一方で目視法というのは100個程度の白血球を検査技師が顕微鏡下で肉眼的に観察して好中球や好酸球など割合の分類を行ってくれる。 …

オピオイドの使い方memo

オピオイドの使い方memo ◎WHOのガイドラインに則って 原則1:経口投与(経口で行けるならパッチ製剤や静脈投与、坐薬は使わない) 原則2:定時投与(痛みを感じてから飲むのではなく、痛みを感じなくて済むように定期的に投与) 原則3:痛みに応じた最適…

栄養投与手順memo

栄養投与手順memo 1,水分量の決定 体重×30~40mlが概算量。 最低必要量=尿量(500ml/day)+不感蒸泄(500ml/day)ー代謝水(300ml/day)という計算式もある。不感蒸泄は37度以上の熱があれば1度につき100~150ml/day上昇する。 嘔吐や下痢があればそれらも考…

脂肪不足で脂肪肝になる理由

脂肪肝とは脂肪の摂取過剰で肝細胞に脂肪が蓄積していき生じる病態である。 が、面白いことに?脂肪の摂取不足でも脂肪肝になる。 タンパク質をつくる工場である肝臓では、アポリポタンパク質という脂肪の輸送に関わるタンパク質の産生が行われている。肝臓…

ASO高値の原因とその解釈

ASO(antistreptolysin O)とは抗ストレプトリジンO抗体のこと。 ストレプトリジンとはレンサ球菌属の産生する細胞溶解その1つであり、A群ベータ溶連菌が血液寒天培地でβ溶血するのに必要な物質でもある。ASOはA群ベータ溶連菌に感染した際に、A群が産生する…

つぎあし歩行(tandem gait)とその意義

つぎあし歩行(tandem gait)とその意義 つぎあし歩行とは一方の足先ともう一方のあしのかかとが交互につくようにしながら直線状にまっすぐ歩かせるテストのことである。重度の運動失調があればつぎあし歩行などするまでもなく、真っすぐ歩けないということが…

エルシニア腸炎とは

急性虫垂炎と似た症状を呈するものとして、エルシニア腸炎がある。 エルシニア腸炎はYersinia Enterobacteriaceaeによる腸管感染症であり、回腸末端に侵入し、有痛性の腸間膜リンパ節炎・右下腹部痛を生じさせる。 Yersinia Enterobacteriaceaeは低温でも成…

主訴:歩行障害の鑑別

・痙性片麻痺歩行 大脳〜頸髄レベルでの片側性錐体路障害で片麻痺を呈する。 (内包付近の血管障害:被殻出血、視床出血、中大脳動脈流域脳梗塞など) 歩行時の自然な屈伸が減少し、下肢は伸展しつま先は垂れていることが多い(下肢全体が棒のように突っ張る…

急性期脳梗塞に対するアスピリンとオザグレルの違い

急性期脳梗塞の治療で血栓形成の予防を目的として抗血小板薬が用いられるが、現在有効性が示されているものはアスピリンとオザグレル(キサンボン®、カタクロット®)の2つである。 ◯血小板が凝集するメカニズム 血小板は生理的な状態で血管内皮細胞に接着す…

クロストリジウム・ディフィシル診断(感度と特異度)

CDI感染(クロストリジウム・ディフィシル)はいつ疑うか。 教科書的には抗菌薬使用後+入院患者に発生する下痢では疑わなければならないとされている。 ◯CDIを起こしやすい抗菌薬 リスク比一覧(byホスピタリストのための内科診療フローチャート) クリンダ…

バクタ(ST合剤)はいつ使うか

【ST合剤とは】 STが合剤なのはサルファ成分とトリメトプリムが微生物の葉酸合成経路を別々の機序で阻害するから。これによりシナジーが生まれて1+1は2以上になる現象。葉酸合成系は人間にはなく、微生物のみにしか無いから有効に使える。微生物は葉酸合…