つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

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失神患者の心エコーでどこを観察するか

失神患者の心エコーでどこを観察するか 心原性失神の評価目的に心エコーをする時に注目するところ ・局所壁運動低下: 明らかなアシナジーがあれば心筋梗塞の可能性を考える。 ・EF低下: 原疾患は何であれ(陳旧性心筋梗塞や心筋症やら)、EFが20〜30%と低…

「心原性失神の否定をお願いします」と言われたら

「心原性失神の否定をお願いします」と言われたら →無理です。完全な否定はできなくても可能な範囲内で疑わしいかどうか調べる。 ◯まずは病歴の確認 ・既往歴:心疾患や失神の有無。心電図異常などこれまでに指摘されていないか。 ・家族歴:家族での心疾患…

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない 突然の腰痛で尿潜血も+だと多くの場合尿管結石であるが、決してイコールではない。 若年者であれば尿路結石の確率は高くなるが高齢者であれば尿の濃縮能が低下しており尿路結石発症率が下がり別の疾患の可能性…

尿路結石での超音波検査の意義と見え方

尿路結石でのエコーの意義と見え方 尿路結石の診断は病歴と尿検査(潜血陽性)、そして画像検査で行う。確定診断には腹部CTが有用であるが、被爆の問題を考えるとまずエコーで評価したい。 ⭕エコーでわかること →上部尿路の閉塞による水腎、水尿管の程度や、…

尿路結石の診断において尿検査はあくまで補助という話

尿検査は尿路結石疑いにルーチンで行われるが、尿潜血反応の尿路結石に対する感度特異度ともに十分高くなく(感度 67~84%、特異度 27~58%)あくまで補助診断に留まる。 突然の背部痛患者に対して尿検査で潜血+だけ確認して鎮痛剤処方で帰宅などは非常に…

尿管結石再発予防での飲水励行の効果

尿管結石患者には再発予防に水をしっかりと飲むように指導することが多いが、どの程度水を飲むべきで、またどの程度の効果なのだろうか。 慢性的な脱水などで尿量が少ない場合は、それに比例してシュウ酸カルシウム結晶が形成されやすくなるという報告がある…

経静脈的一時ペーシングの設定

一時ペーシングの適応に関しては別記事参照 ⭕センシング・ペーシングの設定 ・リードを右室心尖部に留置してから… 【センシング】 ・自己脈がある時はまずセンシング感度を調節する。(センスアンプが点滅していたら感知できていることになる) ・最高のセン…

大動脈解離stanfordB型の侵襲的治療の適応

急性大動脈解離stanfordB型であっても急性期予後に危険が及ぶcomplicatedの状態であれば侵襲的治療が必要となる。 complicated急性B型解離の定義 ①破裂・切迫破裂 ②malperfusion(分枝潅流障害):腹部主要分枝、下肢、脊髄などへの灌流障害 ③持続する痛み、…

(文献)電気ショックに関してのチップス

(文献)電気ショックのミニレビュー pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ミニレビューからの覚書 ✅電気ショック成功へのファクター ・エネルギー量は電圧と電流の組み合わせで決まる。 ・電気ショックが成功するかはパドルの大きさ、貼る場所、胸壁のインピーダンス(…

大動脈解離の診察のポイントと緊急度

大動脈解離は一般的に突然の胸背部痛で出現する。 裂けるような痛み、移動する痛みが特徴的である。 診断のゴールドスタンダードは造影CT。血液検査のDダイマーも感度が非常に高いので陰性であれば否定的と言える。 大動脈解離が非常に疑わしい場合または診…

CKDに対してのレニン・アンジオテンシン系阻害薬の適応

ACE阻害薬であれARBであれ、レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤は血管拡張を含む様々な臓器保護作用があり、糖尿病やCKDのステージに関わらず、末期腎不全への進展や全死亡率を改善する効果が報告されている。 ただし、ARB,ACE阻害薬の問題点としては…

肝酵素上昇の原因と鑑別

肝酵素上昇の原因と鑑別 まずASTやALTなど肝逸脱酵素がメインで上がっているのか、それともALPやγGTPなど胆道系酵素がメインで上がっているのか、それとも両方とも上がっているのかをみる。 一般的に… ・トランスアミナーゼ>500でALP<正常上限の3倍であれ…

急性肝炎の劇症化のリスク:与芝の式

急性肝炎をみたら劇症化するかどうかを予想する。 ◯劇症肝炎とは 劇症肝炎とは、肝炎ウイルス感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などが原因で短期間で広汎な壊死が生じ、進行性の黄疸、出血傾向及び肝性脳症などの肝不全症状が出現する病態のこと。「初発…

血ガスでアルカレミアでHCO3-もCO2もアルカリの場合の解釈

血ガスでアルカレミアでHCO3-もCO2もアルカリの場合の解釈 例) pH.7.54 PaCO2 35 HCO3-:29.9 Na 140 CL- 99 ph:アルカレミア HCO3-が上昇している点では代謝性アルカローシス、PaCO2が低下している点では呼吸性アルカローシスが考えられる。どちらがメイン…

補正HCO3-の計算法とその意義

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AG開大代謝性アシドーシスの時には必ず補正HCO3-を計算する 血液ガスでアニオンギャップ(AG)が増加しているときには必ず代謝性アシドーシスがある。 AGとはNa-Cl-HCO3-で計算される。正常値は12前後。 AGが増えた分だけHCO3-は減るはずである。 https://w…

代謝性アシドーシスの鑑別

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代謝性アシドーシスの鑑別 ◯アニオンギャップ(AG)上昇の場合 ・乳酸アシドーシス ・ケトアシドーシス(糖尿病性、アルコール性、飢餓) ・腎不全・尿毒症(リン酸) ・中毒(サリチル酸、メタノール、エチレングリコールなど) *乳酸アシドーシスの原因 (…

喘息・COPD発作にテオフィリン点滴をいつ考えるか

◯テオフィリンとは テオフィリンはcAMPを増加させてプロテインキナーゼを活性化させることにより気管支平滑筋を拡張させる効果があり、気管支喘息やCOPDなどに有効とされている。気管支喘息に最初から投与することはないが、β刺激薬(メプチンなど)やステロ…

喘息発作における全身性ステロイド治療の方法メモ

Q、ステロイドは内服より点滴のほうが良いのか? →喘息発作に対する全身ステロイドは点滴でも内服でも効果は変わらない。重症発作以上では内服が難しいこともあるので点滴のほうが無難だが、中等度であれば内服でも構わない。 ・喘息発作に対する全身性ステ…

喘息患者を帰宅させる時の対応

◯喘息患者の入院適応 ・↓表の重症度分類で、高度および重篤の場合は入院の絶対適応。 ・中等度発作の場合であれば、吸入薬や全身ステロイド治療などで2−4時間の治療で反応不十分あるいは1−2時間の治療で反応なしの場合は入院適応。 ・救急受診までに症状…

喘息発作への初期対応

喘息発作への初期対応 喘息の重症度には発作時と安定期の2種類ある。救急外来などで対応することになる発作時について説明する。 ↑引用:http://ryumachi.umin.jp/clinical_case/BA.html ◯ステップ1:軽度発作、苦しいが横になれる、日常動作ほぼ普通。SpO…

喘息疑いに胸部レントゲン/CTは必要なのか

典型的な喘息発作であれば、発作性の呼吸困難があり、呼気時のwheeze更には早朝の咳を繰り返すという現病歴があり疑うことは容易であるが、だからといって気管支喘息と診断してしまうのは危険。GINAの診断クライテリアでも気管支喘息の診断に大事なこととし…

門脈ガスと胆道気腫の違い

◯門脈ガスとは CTなど画像検査で門脈系の静脈から肝内門脈に至る血管内にガスが存在する。多くの場合は先行する腸管壊死があり、それにより腸管内の空気が門脈系に移動した状態であり、腸管虚血を発症してからかなり時間が立っていることが多い。上腸間膜動…

結核を疑ったらとりあえず提出する検査は

◯胸部レントゲン、CT まずは正面レントゲン画像を撮影。必要に応じてCT撮影。 典型的には上肺野を中心とした空洞性病変であるが、高齢者では誤嚥性肺炎などと区別がつかないことも多く、画像で結核の診断は難しいと考える。 ◯3連痰(痰培養検査、塗抹染色)…

いつ結核を疑うか

結核診断の第一歩は結核を疑うことである(決して稀な疾患ではない) ◯アメリカのガイドラインによると次の状況で結核を疑う ・2−3週間以上続く咳+(発熱、寝汗、血痰、体重減少のうちの1つ以上) ・結核リスクの高い患者で原因不明の呼吸器症状が2−3週…

気管支炎に抗生剤は使っても肺炎予防効果はない

気管支炎=ウィルスや細菌が気管支の粘膜に侵入し、痰を絡んだ咳が出る。 肺炎=気管支炎より更に先の肺胞で炎症が起きている状態。バイタルサインに異常が出る。 気管支炎と肺炎の鑑別はレントゲンで肺野に浸潤影があるかどうか。 よって、肺炎のような症状…

胸部レントゲン仰臥位のみでは肺炎の除外は難しい

◯肺炎の診断のゴールドスタンダードは胸部レントゲン。 咳嗽や喀痰、発熱など上気道症状があって肺炎を疑う時はまず胸部レントゲンで肺炎の評価をする。それでも肺炎像が認められない場合は、精査目的に胸部CT撮影となるのが一般的である。しかし、胸部レン…

尿毒症による意識障害はいつから現れるか?

意識障害の鑑別で有名なAIUEOTIPSのうちのU=Uremia(尿毒症)は具体的にどのような状況下で疑うべきなのだろうか。 一般的には慢性腎不全が進行して尿毒症という状態になると、倦怠感、吐き気、食欲低下、頭痛、呼吸困難、出血症状など様々症状が出現しうる…

神経所見すべて陰性のめまい患者。入院か帰宅かの判断は?

突然発症のめまい患者の診察で大事なのは中枢性めまいか末梢性めまいかの鑑別である。眼振含め中枢性めまいを疑う神経所見がない患者でめまいが持続しているとき、同アプローチしたら良いのだろうか。 頭部CTは急性期脳梗塞の感度が低いため陰性でも脳梗塞を…

めまい患者の診察では膝かかと試験も忘れずに

主訴がめまいの患者が来院された時には基本的に一通りの神経診察をする。 特に小脳梗塞を疑い協調運動障害があるかどうかも調べるわけであるが、バタバタしているなどの理由で指鼻指試験だけで小脳症状はなしと考えられてしまうことがある。 小脳の運動調節…

中枢性めまいはMRIでは除外できないという話

めまい患者の対応でいちばん大事なのは脳血管障害による中枢性めまいなのか、それともBPPVや前庭神経炎などの末梢性めまいなのかの鑑別である。 神経診察が最も重要ということは言うまでもないが、眼振含め神経所見が全く異常のない場合はやはり画像検査に頼…