つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

脳神経

細菌性髄膜炎に対してステロイドを用いる理由

細菌性髄膜炎に対してステロイドを用いる理由 細菌性髄膜炎の治療として抗菌薬を使うのは当然であるが、それと同時に副腎皮質ステロイドも用いるのはなぜだろうか。 細菌性髄膜炎の組織障害性には細菌感染による直接的な障害だけでなく、破壊された細菌の細…

髄膜刺激症状とその検査法

髄膜刺激症状とその検査法 項部硬直・・・仰臥位の状態で頭部を前屈させると不随意的な抵抗があり曲がりにくい。傷ついた髄膜が引き延ばされるために患者は痛みを覚え、顎が前胸部につかなくなる。なお、項部硬直は高齢者の1/3で偽陽性となるため、決して特異的…

核上性と核下性の違い

核上性ニューロンと核下性ニューロンの違い 核上性とは脳神経系において、大脳皮質から脳幹までの脳神経細胞に至るまでを核上性ニューロン、脳幹の神経細胞から末梢を核下性ニューロンという。つまり大脳皮質にある神経細胞は直接目的地に到達するわけではな…

バリズムと舞踏様運動の違い

バリズムと舞踏様運動の違い バリズムとは、上肢または下肢近位筋優位の振り回すような激しい不随意運動である。多くが片側に出現し、片側バリズムと呼ばれる。片側バリズムは体側の視床価格が責任病巣とされ、ほとんどが脳梗塞あるいは脳出血が原因とされて…

ギランバレーで蛋白細胞解離がみられるのはなぜか

ギランバレーで蛋白細胞解離がみられるのはなぜか ギランバレー症候群では風邪や胃腸炎などの先行感染の後に抗体が産生されるが、その抗体が外来の異物だけでなく、自分自身の神経の構成成分を攻撃してしまうことにより起こると考えられている(交叉抗原説)…

キサントクロミーとその原因

キサントクロミー(xanthochromia)とは何か キサントクロミーとは腰椎穿刺などの検査をした際に髄液が黄色調を示すことを言う。キサントクロミーの主な原因はクモ膜下出血や髄膜炎である。クモ膜下出血などによって赤血球が溶血し、髄液がビリルビンの黄色…

ビタミンB12不足で亜急性脊髄連合変性症が引き起こされるのはなぜか

ビタミンB12不足で亜急性脊髄連合変性症が引き起こされるのはなぜか ビタミンB12は生体内において葉酸代謝、脂質代謝という2つの点において非常に重要な役割を持っている。 ここでは葉酸代謝の方は割愛して、脂質代謝の障害が起きるとなぜ亜急性脊髄連…

劣位半球と優位半球の違い

劣位半球と優位半球の違い 大脳半球の働きには左右差があり、言語的、論理的思考を司る側を優位半球、その反対側を劣位半球という。脳の右側と左側でどちらが優位半球、劣位半球なのかは人によって異なる。一般的には左半球が優位半球であることが多いといわ…

アリセプト(ドネペジル)の作用機序

アリセプトとはアルツハイマー型認知症の治療薬。 アルツハイマー病の患者の大脳皮質や海馬と神経的に繋がるアセチルコリン神経の起始核である前脳基底核の神経細胞が変性脱落している。これらの領域においてアセチルコリン合成酵素が減少していて、それが認…

せん妄と認知症の違い

せん妄とは… 1:幻視、妄想、興奮、不安を主症状とする急性錯乱状態。 2:症状が1日の中で変動しやすい。夕方から夜にかけて悪化。患者は自分でせん妄と認知できない。 3:せん妄は脳の貧弱性がある所に身体疾患の発生・環境の変化が誘引となって発症す…

外減圧術と内減圧術の違い

頭を強くぶつけたりして頭蓋内で出血が起こり、血腫が形成される(=急性頭蓋内血腫)。血腫の増大で脳が圧迫されると神経症状の出現、最悪の場合は脳ヘルニアを引き起こす。そのため早期に診断し、血腫を除去する必要がある。 血腫を除去した後に、術後の脳…

脳挫傷の病態生理

■脳震盪のはなし 脳表面の挫傷、つまり脳挫傷は様々な程度の点状出血、脳浮腫、組織破壊をきたす。脳挫傷や深部脳出血は、外力が加わることで脳が頭蓋骨に圧迫されることで生じる損傷=coup injuryや、脳が反動で戻るときに外力とは逆側の部位が損傷する=co…

部分発作と全般発作の違い

てんかん部分発作と全般発作の違い てんかんとは大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮することによって起こる発作性の症状のことを言う。正常な神経細胞では、他の神経細胞からの興奮性シグナルと抑制性シグナルとのバランスに応じて興奮するが、てんかんではこの…

硬膜外血腫の原因と病態生理

■頭蓋骨骨折などにより頭蓋骨と硬膜の間に出血が起こる病態。頭蓋骨と硬膜の間に血液が貯留してそれがやがて血腫を形成し脳組織を圧迫してしまう。出血源は中硬膜動脈の欠損によることが多いため、側頭部に最も多い。ほかの出血源としては板間静脈、上矢状静…

側頭動脈炎について

浅側頭動脈や眼動脈などの血管に、巨細胞を含んだ肉芽腫性の炎症(巨細胞性動脈炎)が生じる疾患である。好発は50歳以上の女性。症状としては、片側性の拍動性の頭痛と浅側頭動脈の怒張・硬結、また眼動脈の狭小化による虚血性視神経症が生じる。最悪の場…

内頚動脈と外頚動脈の走行

内頚動脈は脳を栄養する動脈で、頭蓋腔内に入るという意味から内頚動脈という。頸部では分岐せず、側頭骨の頚動脈管から頭蓋内に入り、眼動脈を分岐した後、椎骨動脈から分岐した脳底動脈とともにウィリス大動脈輪を形成する。 内頚動脈の最初の枝である眼動…

脳動脈瘤の形成メカニズムと好発部位

脳動脈瘤は、先天的な動脈壁の中脈欠損に、高血圧・動脈硬化などの後天的な要因や血管内皮の修復障害が加わり形成されると考えられている 動脈分岐部に先天的な中膜欠損が見られることが多く、分岐部の血管兵には圧力がかかり続ける。そこに高血圧などの後天…

coup injuryとcontrecoup injuryの違い

頭部を強打した際に生じる脳挫傷には以下の2つがありうる。 coup injury=直撃損傷 contrecoup injury=対側損傷 coup injuryとは… 頭蓋が打撃を受け動きを止めても慣性力によって脳は動き続けて頭蓋骨に衝突する。これにより、打撃を受けた側と同じ側の脳が…

髄液漏と気脳症の関係

■髄液漏とは何か 頭蓋底の骨折により、骨と強い癒着のある硬膜・くも膜が損傷すると、そこから外部へと髄液が露出する。これを髄液漏といい、頭蓋底骨折の際の重要なサインとなる。髄液漏をきたしている場合、外部と頭蓋内との交通が認められるため、感染の…

Barre徴候の検査法とその機序

バレー徴候とは何か(Barre's sign) 中枢性の運動障害、つまり上位運動ニューロンの障害(錐体路障害)による片側性の軽い運動麻痺のスクリーニング方法である。脳出血や脳梗塞などで上位運動ニューロンに障害が生じるとバレー徴候陽性となる。尚、軽度の上位…

神経原性筋萎縮と筋原性筋萎縮の違い

筋肉の体積が病的に減少することにより筋力低下をきたすことを筋萎縮という。 筋萎縮には筋を支配している神経が障害されることによる神経原性筋萎縮と、筋自体が障害されることによる筋原性筋萎縮の2つがある。 神経原性萎縮について… 代表的な疾患:ALS …

中枢神経と末梢神経、そして脳神経の違い

中枢神経と末梢神経、そして脳神経の違い 人の神経系は中枢神経と末梢神経に分類される。中枢神経系には更に脳と脊髄に、末梢神経は働きによって体性神経系と自律神経系に分類される。 中枢神経系とは… 脳と脊髄からなり、運動・感覚・自律機能などの生体の…

上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの違い

■上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの違い 運動指令を伝えるために大脳皮質から脊髄の前角細胞や脳幹の脳神経核まで軸索を伸ばし、シナプスを形成する中枢神経を上位運動ニューロンという。一方で、シナプスで上位ニューロンから運動の命令を受けてそ…

脳神経12対とその覚え方・ゴロ

脳神経とは、神経系に属する器官で、脳から直接出ている末梢神経の総称。全部で12個もあり実に覚えにくい。 脳神経の主な働き・役割についておさらい 1番:嗅神経・・・嗅覚 →障害されると臭いがわからなくなる 2番:視神経・・・視覚動眼神経・・・眼球…

ALSの病態生理と4大陰性症状

筋萎縮性側索硬化症とその陰性症状のお話 ALSとは… 上位・下位運動ニューロンがともに変性し、徐々に全身の筋肉の萎縮が進行する原因不明の疾患。頻度は10万人に1人程。脊髄の側索(錐体路)の変性や前角(下位運動ニューロンの始点となる脊髄前角細胞が…

除皮質硬直と除脳硬直の違い(GCS評価)

除皮質硬直と除脳硬直の違い 除皮質硬直も除脳硬直も共に伸展性対麻痺の一種であり、両側性の錐体路障害により生じる姿勢異常である。両側の下肢は痙縮によって また、除皮質硬直は上肢は屈曲位となり、下肢は股関節と膝関節が伸展し、足関節は底屈する。広…

脳神経についてまとめ

■脳神経の定義 末梢神経は中枢神経の指示にしたがい作動する。逆に中枢神経は末梢神経から情報を受け取ることが出来る。 この二つを接続する役割を担うのが脳神経と脊髄神経である。 脳神経・・・頭蓋骨の隙間を通って出入りするもの 脊髄神経・・・脊柱の隙…