つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

手技・身体診察

眼瞼結膜の貧血の見方

眼瞼結膜蒼白とはどのようなものか。写真で比較 眼瞼結膜蒼白のポイントは眼瞼結膜の前側と後側の色の比較である。 前側の縁が赤色で後ろ側が白くなっているのが正常。前側の縁も後ろ側も同じく白色になっているのが貧血のサイン。 眼瞼結膜:貧血なしの写真…

頸静脈怒張の原因と診察法(+動画)

頸静脈怒張と診察法 ”頸静脈怒張”とは頸静脈が座位において拡張して張りだして見える徴候のことで心不全(右心不全)の徴候の1つ。右内頸静脈の視診で頸静脈怒張の評価を行う。 ■頸静脈怒張にはどういう意味があるのか 頸静脈怒張が臨床的に重要なのは右心…

人形の目現象(眼球頭反射)とは何か+動画

眼球頭反射とは何か(人形の眼試験=人形の目現象) 人形の目試験とは頭位の回旋によって眼位の変化(頭位変換眼球反射)を観察する試験法。頭を支えた状態で急速に右、もしくは左に回旋させた時に眼球が頭に対して反対方向を向く現象である。頭を回転させて…

酸素吸入の種類と適応の違い

呼吸不全の時には低酸素血症の改善を目的として酸素吸入療法や人工換気が行われる。 酸素吸入療法には鼻カニューレ、酸素マスク、リザーバー付き酸素マスク、リザーバー付きバッグバルブマスク(BVM)などの種類があり、それぞれで酸素の流量が異なる。 ・両…

Oppenheim手技とは何か(+動画)

オッペンハイム手技とは:頸骨の内側縁を親指の腹で上から下の方にそっていく方法である。これは錐体路障害を検出するための方法であり、錐体路(上位運動ニューロン)に異常があれば下のイラストのように足の指(特に親指)が背屈する。錐体路障害の検出と…

stridor(吸気性喘鳴)とwheeze(笛音)の違い

ストライダーとウィーズの違い ストライダー(stridor)とは: 上気道が閉塞することにより吸気時に聞こえる喘鳴。 「グ〜、グ〜」というような低い音が特徴。連続性雑音であるが、胸郭外由来のために連続性ラ音には分類されない。 上気道とは具体的には咽頭…

ホフマン反射とトレムナー反射の違い(+動画)

ホフマン反射とトレムナー反射の違い 共に病的反射の一種であり上位運動ニューロン(錐体路)が障害されると出現する。病的反射はこれらの他にもバビンスキー反射やチャドック反射がある。最も感度が高い病的反射はバビンスキー反射でありスクリーニングとし…

甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延が起こるのは何故か

甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延となる機序 甲状腺機能低下症とは 甲状腺ホルモンの作用低下によって様々な全身症状をきたす疾患。原因(病変)は甲状腺そのものにある場合とその上流の視床下部にある場合とがある。アキレス腱反射弛緩相遅延と…

アキレス腱反射の見方とその意義(+動画)

アキレス腱反射亢進と減弱の原因 アキレス腱反射とは…アキレス腱を軽く叩打することにより足が底屈するという腱反射のひとつ。アキレス腱反射は、脊髄から分枝したS1およびS2神経により起こる。 アキレス腱反射減弱・消失の原因: アキレス腱反射を叩打する…

バビンスキー反射の方法とその機序(+動画)

バビンスキー反射とは 錐体路障害(つまり上位運動ニューロン障害)を調べるための検査方法。足の裏をかかとからつま先の方向にこすることで誘発される。刺激するのは足の裏の外縁でゆっくりと踵から小指の方に向かってこすり、先端で母趾の方にカーブさせる…

チャドック反射の意義(+動画)

チャドック反射陽性とその意味 チャドック反射とは病的反射の一種であり、錐体路障害(上位運動ニューロンの障害)に対する検査である。最も有名な病的反射としてバビンスキー反射がある。*1チャドック反射はバビンスキー反射の亜種とも言え、反射を誘発する…

精巣挙筋反射の消失とその意義(+動画)

精巣挙筋反射(挙睾筋反射)の消失とその意義 ◯精巣挙筋反射(cremaster reflex)とは表在反射の一種 表在反射とは皮膚や粘膜が刺激されることで筋収縮が引き起こされる反射。正常であれば、大腿の内側近位部をピンなどでこすると同側の挙睾筋が収縮して睾丸が…

前頭葉徴候ゲーゲンハルテンとは何か

ゲーゲンハルテンとは(=パラトニア) ゲーゲンハルテンとは患者に触れると、被験者の注意が集中してそこの筋肉の緊張が亢進してしまう現象の事を言う。あたかも被験者に逆らうように筋肉が硬くなり、一見固縮と似ている。 固縮との鑑別点としては、抵抗の…

Queckenstedt試験とその機序

Queckenstedt試験とは何か 頭蓋内の静脈とクモ膜下腔、それに脊柱管内のクモ膜下腔が正常に交通しているかを調べる試験。 画像参照*1 ルンバール(腰椎穿刺)を行う際に側頸部を両側から圧迫する。くも膜下腔が自由に交通していれば圧迫によって髄液圧は10…

グラム染色と培養検査の違い

グラム染色と培養検査の違いと使い分け グラム染色*1 塗抹培養検査*2 塗抹染色法(特にグラム染色)と培養検査はそれぞれ検体にどのような細菌が含まれてくれるかを教えてくれる検査であるが、その検査結果の意味合いは異なる(一長一短でありどちらが優れて…

血液培養とその適応

血液培養はいつ行うか 血液培養とは文字通り血液を採取して、その中に菌がいるかどうかを培養することにより確かめる手法である。重篤な感染が疑われる場合は抗菌薬投与前に2セットの血液培養採取が必要である。 血液培養の適応は原則的には血液の中に菌が…

翼状針と留置針の違い

翼状針と留置針の違い、使い分け 翼状針とは先端部分が翼のような形をしている注射針である。羽が付いていることから持って穿刺しやすく、また羽の部分をテープで固定しやすいというメリットが有る。 翼状針を用いなければならないという絶対適応のようなシ…

動脈血培養と静脈血培養の違い

動脈血培養と静脈血培養の違い *1 血液培養とは患者から採取した血液を培地入りのボトルに入れて感染症の原因となる細菌や真菌などが患者の血液内に侵入していないかどうかを調べる方法である。また、抗菌薬の感受性(効きやすさ)も調べることができる。 血…

肝濁音界が消失する原因

そもそも肝濁音界とは: 腹部を打診するときにその場所に何の臓器があるかによって聞こえる音が異なる。 例えば叩いた所に腸管などの空気が溜まっていたらポンポンと高い鼓音がするし、肝臓や脾臓などの実質臓器を叩けば重い低調な音が聞こえる(=濁音)。 …

嗅神経障害の原因と診察

嗅神経(第一脳神経)の働きについてまとめ 嗅神経とは脳神経12対のうちの1番目の脳神経である。嗅神経は名前の通り、嗅覚を感知するための知覚神経。 【嗅神経の経路】 鼻腔の奥深くに嗅上皮と呼ばれる部分があり、ここに嗅細胞が多数存在している。ここ…

筋トーヌスの亢進について 痙縮と筋強剛の違い

筋トーヌスの亢進とは何か 筋トーヌスとは日本語でいうならば筋の緊張である。 筋緊張亢進には痙縮と筋強剛の2つに分けることができる。 痙縮は錐体路の障害によって出現する。急激な他動運動によって大きな抵抗を示すが、運動のは十眼の時に抵抗が大きく、…

髄膜刺激症状とその検査法

髄膜刺激症状とその検査法 項部硬直・・・仰臥位の状態で頭部を前屈させると不随意的な抵抗があり曲がりにくい。傷ついた髄膜が引き延ばされるために患者は痛みを覚え、顎が前胸部につかなくなる。なお、項部硬直は高齢者の1/3で偽陽性となるため、決して特異的…

romberg試験の方法とその意義

ロンベルグ試験の方法とその意義 ロンベルグ試験は平衡機能(深部感覚)の検査である。深部感覚神経は脊髄の後索を通っているので、その部分が障害をうけると身体の異常として発生する。Romberg試験は両足をそろえてたってもらい、バランスをとれるかどうか…

中枢性チアノーゼと末梢性チアノーゼの違い

中枢性(中心性)チアノーゼと末梢性チアノーゼの違い ■チアノーゼとは チアノーゼとは唇、頬、つめ、粘膜などが黒紫を呈する状態で、毛細血管の還元型ヘモグロビンが5g/dl以上になった時に出現する。 ヘモグロビンには酸素と結合している酸化型ヘモグロビン…

アレンのテスト:方法と意義

■allen's testとは何か 橈骨動脈から手掌にかけての解剖学的特徴として、橈骨動脈と尺骨動脈が手のひらで ループを作り、そこから手指に動脈血を供給しているという動脈の二重支配がある。もしこのループの形成が不完全な場合は、橈骨動脈が閉塞した時に尺骨…

筋性防御、板状硬、反跳痛の違いとそれぞれの有用性

虫垂炎や胆嚢炎などの炎症が腹膜に波及すると腹膜刺激症状という特有の症状が現れる。腹膜刺激症状の検査法は様々あり、ここでは筋性防御、板状硬、打診痛、咳嗽試験、反跳痛などなどをご紹介 筋性防御 腹壁を押し下げ痛みが出現するときに起こる腹筋の意識…

中心静脈路確保の意味と適応

中心静脈路確保(中心静脈栄養法)とは 中心静脈とは体循環系の血液が右心房に流入する直前の上大静脈および下大静脈の幹にあたる静脈のことを言う。ここにカテーテルを通し、薬剤・栄養・輸液を行うことを中心静脈路確保という。カテーテルの経路としては、…

Barre徴候の検査法とその機序

バレー徴候とは何か(Barre's sign) 中枢性の運動障害、つまり上位運動ニューロンの障害(錐体路障害)による片側性の軽い運動麻痺のスクリーニング方法である。脳出血や脳梗塞などで上位運動ニューロンに障害が生じるとバレー徴候陽性となる。尚、軽度の上位…

Ⅲ音とⅣ音のメカニズム

■正常な心音について 正常な心臓において心音はどのように現れるのか まずは1音と2音に注目して見ていくと… 1、心房収縮: 心房に残っている血液を心室に送り出す 2、僧帽弁・三尖弁閉鎖: 心室圧が心房圧よりも高くなると僧帽弁と三尖弁が閉鎖する=こ…

カーテン徴候の病態生理とその見方

カーテン徴候はどういうメカニズムで起こるのか 舌咽神経と迷走神経は、咽頭の運動を支配しており、これらの神経が障害されると咽頭はうまく運動できなくなる。患者さんに「あー」っと声を出させることで、軟口蓋の動き、口蓋垂の偏位、カーテン徴候の有無を…