つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

呼吸器

肺胞タンパク症のCT画像でメロンの皮様となる理由

肺胞タンパク症のCT画像で「メロンの皮様」となる理由 肺胞タンパク症の発生機序健常人では顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と呼ばれる物質の作用によって肺のサーファクタントが貪食され、サーファクタント量が一定に保たれるようになって…

市中肺炎の入院基準ADROPとは

肺炎の入院基準ADROPとは 日本呼吸器学会の成人市中肺炎診療ガイドラインによれば肺炎の入院適応は以下のようになっている。 Age(年齢):男性70歳以上、女性75歳以上Dehydration(脱水):BUN21mg/dl以上Respiration(呼吸):SpO2が90%以下(PaO2が60…

中枢化学受容体と末梢化学受容体の働きと違い

中枢化学受容体と末梢化学受容体の働きと違い 体内には末梢と中枢の化学受容体があり、それらによってPaO2とPaCO2が一定に保たれている。 末梢化学受容体は頸動脈小体と大動脈小体がある。頸動脈小体は内頸動脈と外頸動脈の分岐部にあり、PaO2…

腹式呼吸と胸式呼吸で使う筋肉の違い

腹式呼吸と胸式呼吸の違い 呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸がある。ラジオ体操のように手を横に広げて息を吸う方法は胸が横に大きく膨らむ胸式呼吸である。一方、手を真上にあげてから息を吸う深呼吸は腹式呼吸であり、肋骨をなるべく動かさないで行う呼吸のこと…

吸気性喘鳴と呼気性喘鳴の違い

吸気性喘鳴と呼気性喘鳴の違い 上気道では吸気時に喘鳴が聞こえ、下気道では呼気時に聞こえるのはなぜか。 呼気の時、胸郭が縮む。気道の末梢は胸郭の中にあるので呼気時には圧がかかって胸郭の中の気道が狭くなる病変がある時は呼気により狭くなってその症…

咳反射のメカニズム

咳はどのようなメカニズムで起こるのか。 順番に書いていくと以下のようになる。 1、刺激や炎症がおこる2、気管、気管支、肺胞、横隔膜などに分布する咳受容体が炎症や刺激に反応3、求心路である迷走神経を介して延髄の咳中枢に至る。4、延髄からは遠心…

死腔の増加、減少の起こる原因

死腔とは… 気管において、吸い込んだ空気のガス交換のされない部分のこと。死腔には解剖学的死腔と肺胞死腔がある。解剖学的死腔とは鼻腔、口腔、気管など空気の通り道であってガス交換を行わない場所のこと。肺胞死腔とは換気血流不均等でガス交換を行えな…

臓側胸膜と壁側胸膜の違い

臓側胸膜と壁側胸膜の違い 肺は2つの胸膜に包まれていて、このうち肺に密着している内側の膜を臓側胸膜、外側(つまり胸郭壁の内面を被う方)を壁側胸膜という。 壁側胸膜は園部位により、肋骨に接する肋骨胸膜、横隔膜上面を被う横隔胸膜、内側の縦郭胸膜…

呼気時と吸気時の胸腔内圧の変化について

吸気時も呼気時も胸腔内圧は陰圧である。故に、静脈血は心臓に戻りやすくなる(掃除機で吸われるように…)。胸腔内が陰圧であることにより、肺の動静脈は広がることができ、つまりは肺の血管抵抗が低くなる。肺の血管抵抗が小さいと、肺に血管を送り出すため…

縦隔とその分類

縦隔は左右の肺の間に当たる部分の事を言い、上部を胸郭上口、下部を横隔膜、左右を縦隔胸膜、前方を胸骨後面、後方を脊椎前面で挟まれた部分のことである。 *胸郭上口とは第一胸椎、第一肋骨、胸骨柄上縁で囲まれている(医師国家試験に出題されてます)。…

FEV1%とFEV1の違い

FEV1%と%FEV1とFEV1の話 FEV1=1秒量 FEV1は一秒間にどれだけ多くの息を吐けるかを示すもの。forced expiratory volume in one secondの略。 FEV1%=1秒率 FEV1%は息を努力して吐き出したときに呼出される努力肺活量のうち最初の一秒間に吐き出された量の…

肺炎と間質性肺炎の違い

肺炎は病変の部位によって間質性肺炎と肺胞性肺炎に分けられる。 肺胞性肺炎はいわゆる肺炎である。肺胞腔内に炎症細胞が浸潤している状態である。 一方、間質性肺炎は主に肺胞を取り囲む間質に炎症が起こる。 病態の違い: 間質性肺炎:マクロファージや好…

肺小葉と肺細葉の違い

小葉間結合組織で隔てられた区域を肺小葉(=二次肺小葉)と呼ぶ。 肺小葉は不規則なピラミッド型をした200以上の肺細葉(=一次肺小葉)の集まりである。 つまり大きさで言うと肺細葉<肺小葉となる。 肺小様は各細気管支に、肺細葉は各呼吸細気管支に該…

特発性器質化肺炎とは

特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP) 肺胞空及び肺胞管内にポリープ状器質化病変を形成する間質性肺炎であり、亜急性に進行する呼吸困難、咳嗽、発熱がある。 好発年齢は50代。 病変の分布は斑状で、肺胞構造は破壊されない。 画像所…

特発性肺線維症(IPF)の病態

特発性肺線維症とは… 慢性かつ進行性の線維化・蜂巣肺を特徴とする肺疾患。特発性間質性肺炎のうちで最も頻度が高い=約53% メカニズム 正常なら肺胞上皮が障害されても残存している肺胞上皮が分化して修復してくれるが、肺線維症の場合では肺胞上皮の修…

肺塞栓が肺梗塞になりにくい理由

肺塞栓が肺梗塞になりにくい理由 冠動脈が詰まれば心筋梗塞、脳動脈に塞栓が起これば脳梗塞になる。 しかし…!肺動脈に塞栓が詰まる肺塞栓が起こっても肺梗塞になることは少ない。 何故だろうか。 動脈が閉塞されると、それより遠位の血流と酸素供給が閉ざさ…

CO2が酸でHCO3-がアルカリである理由

【体液pHが一定に保たれる理由】 細胞が適切に働くには体液を至適pHに保つ必要があるが、体内は代謝によって産生される多量のCO2などの揮発性酸と乳酸、リン酸、ケトン体などの不揮発性酸のために酸性になる傾向にある。 体が酸性に傾きすぎないように酸を排…

メタコリン誘発試験とは

メタコリン誘発試験とは… 喘息の検査の一つ。 喘息患者は症状が出ていない時は健常者と同じように過ごすことができるため、病院でスパイロメトリー検査を行って検査的に正常であるからといって喘息がないとは言い切れない。それゆえに意図的に気管支を刺激し…

チェーンストークス呼吸の原因と機序

チェーンストークス呼吸(cheyne-stokes呼吸)とは… 呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸のこと。PaCO2の変動によって呼吸の深さが変化する。 主な疾患: 重症心不全、高齢者、脳腫瘍・脳出血 メカニズム: 完全に解明されているわけではないが、次のような…

COPDの病態

COPDとは… タバコ煙を主とする有害な物質を長期に吸入、暴露することで生じる肺の炎症性疾患。進行性の気流制限を示す。主な症状は咳嗽、喀痰、労作時呼吸困難など。 なぜ気流制限が起きるのか COPDの気流制限は末梢気道病変と肺胞の気腫性病変が複合的に作…

侵襲的陽圧換気と非侵襲的陽圧換気の違い

気管挿管や気管切開による気道確保を行って人交換器をすることを侵襲的陽圧換気という。一方で、気管挿管や気管切開を行わずにマスクを介して補助換気を行う方法を非侵襲的陽圧換気という(=NPPV)。 侵襲的陽圧換気の特徴 適応:重症呼吸不全患者、気道確保…

hering-breuer反射のメカニズム

下気道や肺には肺の進展を感知する伸展受容体が存在する。伸展受容体は、肺の膨張を感知すると迷走神経を介して延髄背側にある吸息ニューロンを抑制するニューロンを興奮させる。このように気道壁の伸展変化によって吸息活動を抑制し、呼息への切り替えを行…

肺気腫とは

肺気腫とは… 肺胞壁や終末細気管支より末梢の気道壁が破壊され、終末気管支より末梢の気腔は不可逆的に拡張する。その際に、肺胞壁を構成するエラスチンやコラーゲンなどのタンパク質が失われる。 通常では、呼気終末には胸腔内圧が上昇し、肺自身も縮もうと…

CO2ナルコーシスの病態と治療

CO2ナルコーシスの病態と治療(ナルコーシスは麻酔という意味) CO2ナルコーシスとは、体内への高度なCO2蓄積によって、中枢神経系の異常を呈した状態であり、自発呼吸の減弱、意識障害が生じる。 主な発症パターンとしては… COPDなどの慢性2型呼吸不全の患…

びまん性汎細気管支炎の病態生理

びまん性汎細気管支炎とは… 両側の肺に呼吸細気管支の慢性炎症が見られる疾患。慢性副鼻腔炎を高頻度に合併(80%以上)することから、副鼻腔気管支症候群の1型と考えられている。東アジアで多く、欧米に少ないことから遺伝が大きく関与していると考えら…

気管支拡張症の病態生理

気管支拡張症とは… 何らかの原因によって亜区域気管支より末梢の気道が感染や炎症を繰り返し、不可逆的な拡張をきたした病態。 ■先天性の主な原因としては カルタゲナー症候群、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎など ■後天性の主な原因としては 感染症、…

肺嚢胞症とは〜ブラとブレブの違い|

肺膿疱症とは… 肺内に肺嚢胞(内部に期待や液体を有する袋状の構造物)が形成される疾患の総称。 気腫性肺嚢胞、気管支性肺嚢胞、リンパ管性肺嚢胞などの分類があるがほとんどは気腫性肺嚢胞。 ブラとは… ブラは肺胞壁が破壊されて融合した結果生じた含気空…

肺胞蛋白症の病態生理

肺胞蛋白症(PAP)とは… 肺胞腔内や終末細気管支内にサーファクタント由来リポタンパク質物質が異常に貯留する疾患。先天性、続発性、自己免疫性の3つのパターンがあるが、成人発症のほとんどが抗GM-CSF中和自己抗体が関与する自己免疫性のものである。 *G…

サルコイドーシスの病態生理(仮説)

サルコイドーシスとは… 両側肺門リンパ節、肺、目、皮膚などにT細胞および単核貪食細胞の集積を伴う原因不明の非乾酪性類上皮細胞肉芽腫性疾患である。多臓器疾患であり、病変局所では炎症が起こり、全身では細胞性免疫が低下する。 原因不明であるが感染性…

過敏性肺臓炎の病態生理

過敏性肺臓炎とは 真菌などの反復吸入により経気道的に感作され、3型、4型アレルギー反応に基づいて発症するびまん性肉芽腫性間質性肺炎。特定の場所・時期において咳嗽、呼吸困難、発熱などの症状を繰り返す。入院などで環境が変わると自然軽快する。 病…