呼吸器
気管支洗浄と気管支肺胞洗浄(BAL)の違い 気管支洗浄は気管支鏡を用いて気管支内に少量の生理食塩水を注入し、陰圧をかけて吸引する。それにより気管支内の病原体の検出や細胞診を行う。 気管支肺胞洗浄(BAL)気管支鏡を用いて大量の生理食塩水を気管支内…
ロセフィン®(セフトリアキソン)は第三世代セフェム。 グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌両方カバーしている。 更に第一世代や第二世代セフェムが苦手であったBLNAR(インフルエンザ菌)に対しても有効であり大変有能であり頻用される抗菌薬である が、 緑膿…
緑膿菌感染のリスク因子 ・15日以上入院している ・第三世代セフェム系抗菌薬の使用歴(菌交代で緑膿菌が残る) ・COPDなどの慢性気道疾患の既往あり (レジデントのための優しい呼吸器教室参照)
肺炎は感染した場所(菌をもらった場所)によって原因菌の種類が異なり、違う臨床像を呈する。原因菌が異なると治療薬も変わってくることになるので肺炎は大きく市中肺炎と院内肺炎に分類されている。 【市中肺炎とは…】 病院外で日常生活をしていた人が発症…
レジオネラ肺炎とは河川や土壌に生息するグラム陰性桿菌のLegionella pneumophiaを原因とする肺炎であり、温泉や空調設備の冷水環境などで増殖し、エアロゾルから集団感染を引き起こす。 ポイント ・重症肺炎では必ず疑うべき ・βラクタムが効かない ・確定…
尿中抗原の感度と特異度 尿中抗原検査とは肺炎に感染することで尿に出る莢膜多糖抗原をイムノクロマトグラフィーで検出することで肺炎の有無を調べる検査方法。 肺炎球菌尿中抗原→感度:70%、特異度:80〜100% レジオネラ尿中抗原→感度:74%、特異度:99.…
肺炎を疑うときに原因菌を調べる目的で喀痰培養を行う。 が、培養結果を待たなくてもある程度喀痰の色で原因を推定することが可能である。 ・鉄さび色→肺炎球菌 ・イチゴゼリー状→クレブシエラ ・オレンジ色→レジオネラ 肺炎球菌の喀痰(鉄錆色) 画像引用:…
COPDで胸鎖乳突筋が発達、肥大する理由 COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは喫煙や有毒物質の吸引などにより肺に慢性的な刺激が加わり、気道の狭窄・肺胞の気腫性変化などが引き起こされる症候群のことである。末梢気道に炎症性細胞が浸潤し、慢性的な反応が起こる…
風邪、気管支炎、肺炎の違い 【風邪と気管支炎の違い】 風邪=ウィルスや細菌が上気道や鼻の粘膜に侵入し、咳や鼻水を呈する 気管支炎=ウィルスや細菌が気管支の粘膜に侵入し、痰を絡んだ咳が出る 気管支炎とは所謂風邪による炎症が気管から気管支にまで波…
市中肺炎の退院基準 市中肺炎とは… 一般社会生活を送っている人に見られる肺炎であり、普通の社会生活を営んでいる健康人に多い(高齢者や何らかの基礎疾患を有している人々も当然かかりうる)。入院中の患者に合併する院内肺炎と対をなす概念である。 一般…
◯上気道症状患者の中で肺炎は5%だけ 肺炎を疑うには病歴、身体所見、画像検査の3つが大事。 一般的には咳嗽や喀痰、発熱などの症状を呈している患者の胸部レントゲンで浸潤影を認めたときに肺炎と診断される。 単純に考えれば咳嗽、喀痰、発熱など上気道…
【細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別】 まず、治療しようとしている肺炎が細菌性肺炎であるかどうか判断が必要。以下の6項目で4項目以上満たせば非定型肺炎疑い、3項目以下であれば細菌性肺炎疑いである。(感度78%,特異度92%) ・60歳未満(細菌性肺炎では…
深部肺静脈血栓症(DVT)の診断スコア 肺塞栓症における臨床症状、危険因子からどのような所見の組み合わせが診断に最も有用か、多変量解析によって明らかにされている。その内の1つとして有名なのがWellsスコア”。以下紹介。 WELLSスコア ・肺塞栓または深…
【coarse crackleとは】 coarse crackleとは断続性ラ音の一種であり、粗い断続音、水泡音とも呼ばれる。 fine crackleとの違いは下記事参照 【holo crackleが聞こえたら心不全か肺炎を疑う】 coarse cracleは吸気時にぱちぱちと低い音が聞こえるのが特徴であ…
腫瘤影、結節影、粒状影の違い レントゲンやCTにおいての陰影はその大きさによって名称が異なり、おおよそ次のように定義されている。 腫瘤影:3cm以上 結節影:5mm~3cm 粒状影:5mm以下 【粒状影について】 粒状影は細気管支やリンパ管といった管状の部分…
肺門部陰影増強の原因 肺門部とは何か 肺門部とは肺の入り口にある中枢の気管支の事を言う。対になる言葉として肺野部があり、肺野部は肺のより末梢を意味するものである。肺がんにおいては肺門部にできやすいタイプ(扁平上皮癌、小細胞がん)と肺野部に出…
胸部レントゲンでルーチンで読影する順 見る順は個人の自由だが、毎回見る順番を決めておくと見逃しが減る。 毎回適当に見ていると、診るべきポイントをそのうち忘却する ●胸部レントゲン ・撮影条件:立位か坐位か臥位か ・パット見の印象(左右バランス、…
ストライダーとウィーズの違い ストライダー(stridor)とは: 上気道が閉塞することにより吸気時に聞こえる喘鳴。 「グ〜、グ〜」というような低い音が特徴。連続性雑音であるが、胸郭外由来のために連続性ラ音には分類されない。 上気道とは具体的には咽頭…
ゲックラー分類(geckler分類)とは ゲックラー分類とは痰を評価するための指標である。 因みに”痰”とは… 肺や気管支といった呼吸器から分泌された、異物をからめとって外界に捨てるための粘液が、疾患などによって異常に多く分泌されるなどして順調に排出さ…
高CO2血症で血圧が上昇する理由 急性呼吸不全などにより血中の二酸化炭素が上昇すると血圧が上昇することが知られている。これは何故であろうか。以下の論文をざっくり紹介。 www.ncbi.nlm.nih.gov 急性呼吸不全の患者を ・高二酸化炭素血症 ・低酸素血症 ・…
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは喫煙や有毒物質の吸引などにより肺に慢性的な刺激が加わり、気道の狭窄・肺胞の気腫性変化などが引き起こされる症候群のことである(COPDは病態であり固有の病気の名前ではない)。 末梢気道に炎症性細胞が浸潤し、慢性的な反応…
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは喫煙や有毒物質の吸引などにより肺に慢性的な刺激が加わり、気道の狭窄・肺胞の気腫性変化などが引き起こされる症候群のことである(COPDは病態であり固有の病気の名前ではない)。 末梢気道に炎症性細胞が浸潤し、慢性的な反応…
G-CSFとGM-CSFの違い(M-CSFについても追記) ■それぞれ何の略か G-CSFとは:顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)のこと。 GM-CSFとは:顆粒球単球コロニー刺激因子(Granulocyte Macrophage colony-stimulating Facto…
1型呼吸不全と2型呼吸不全の違い 呼吸不全とは、呼吸障害によって安静時に酸素の供給が需要に追いついていない状態のことを言う。厳密な定義としては「室内空気呼吸時の動脈血酸素分圧が60Torr以下になる状態」である。 呼吸不全はPaCO2が45Torr以下のもの…
縦隔気腫とは何らかの基礎疾患や外傷などにより縦隔内に空気の入り込んだ状態。 縦隔内に空気の入り込むルートとして肺胞の破裂、気管支の破裂、食道の破裂がある。 例えば肺胞が破裂した場合であれば、肺胞から漏れでた空気がまず肺の間質に入り、血管鞘に…
細菌性肺炎(定型肺炎)と非定型肺炎の違いと鑑別 肺炎の分類の一つに非定型肺炎か定型肺炎かで分ける分類方法がある。 非定型肺炎というのは文字通り普通の肺炎と異なるということであるが、これは歴史的に1940年代に肺炎を起こしているもののグラム染色や…
EtCO2とはend tidal CO2の略であり、日本語で言えば呼気終末炭酸ガス濃度のことである。 EtCO2は呼気に含まれる二酸化炭素の分圧であるので、血液中の二酸化炭素分圧と相関する。二酸化炭素は血中の二酸化炭素を測定するのに比べて呼気の分圧を測定するだけ…
肺気腫(COPD)で肺活量が減少する理由 肺気腫では肺胞壁が破壊されることにより、肺胞同士の融合が起こる。そして肺胞の収縮力も低下に加えて気道狭窄により、思うように空気を押し出せなくなる(=呼気時の気流の低下)。故に肺胞内に空気が残りやすくなり…
声音振盪とは患者さんに低い音で発声してもらい、その声の響きが肺を通って体表にどのように伝わるかを調べる検査のことである。左右差に注意して検査する。 画像引用:医学書院/週刊医学界新聞 【〔連載〕OSCEなんてこわくない(3)】 (第2380号 2000年…
コンプライアンスとは肺の膨らみやすさの指標である。コンプライアンスが高ければ高いほど柔らかく膨らみやすく、コンプライアンスが小さいほど肺は膨らみにくい。 コンプライアンスの中でも大事なのは静肺コンプライアンスである。静肺コンプライアンスは息…