つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

代謝内分泌

クッシング症候群で中心性肥満になる理由

クッシング症候群で中心性肥満となる機序 【クッシング症候群とは】 クッシング症候群とは糖質コルチコイドが異常に産生されてしまう症候群であり、特徴的な体つきや代謝異常を生じる。 クッシング症候群はその原因によりいくつかに分類されている。例えば副…

SIADHで低尿酸血症となる理由

SIADHで高尿酸血症となる機序 【SIADHとは(ちょっと復習)】 SIADHとは抗利尿ホルモンであるバソプレッシンが不適切に、過剰に分泌されてしまう症候群である。バソプレシンは腎臓集合管での水の再吸収を促進するために、体内の循環血液量は増加する。 循環…

グルカゴン負荷試験とブドウ糖負荷試験の違い

グルカゴン負荷試験とブドウ糖負荷試験の違い ブドウ糖もグルカゴンも血糖値を上昇させる働きがあるが、検査としてはどのような意義の違いがあるのだろうか。 グルカゴン負荷試験とは グルカゴンとは膵臓のα細胞から分泌されているホルモンでありグリコーゲ…

妊娠糖尿病の新生児が低カルシウム血症となる理由

妊娠糖尿病の新生児が低カルシウム血症となるのは何故か 出生後72時間以内に低カルシウム血症をきたすものを早発型の低カルシウム血症というが、妊娠糖尿病から生まれてくる新生児も早発型低Caとなるリスクが高い(頻度としては約25-50%)。 ・前提的な話…

単神経炎、多発単神経炎、多発神経炎の違い

単神経炎、多発単神経炎、多発神経炎の違い ・単神経障害(単ニューロパチー) 単神経障害は末梢神経の一本が障害され、支配領域のみの障害が現れる。 主な原因としては圧迫であり、手根管症候群や撓骨神経麻痺、正中神経麻痺などが代表的。他にもBell麻痺や…

補正カルシウムの計算式

カルシウムの補正式 血中カルシウム濃度はアルブミンが4g/dl以下の場合、次のような補正を行わなければならない。 補正血清カルシウム値(mg/dl)= 実測血清カルシウム値(mg/dl)+4ー血清アルブミン値(g/dl) 何故このような補正をしなければならないのだろう…

思春期男児に女性化乳房が多い理由

思春期の男子においては女性のように胸の膨らむ”女性化乳房”がしばしばに見られる。乳腺の増殖を促進するエストロゲンが乳腺の増殖を抑制しているテストステロンよりも多く分泌されてしまうことが原因である。エストロゲンがアンドロゲンよりも多く産生され…

糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の違い+覚え方

糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の違い+ゴロ合わせ 糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病は似ているが異なる概念であるので注意。 糖尿病合併妊娠とは既に糖尿病と診断されている妊婦が妊娠することであり、妊娠糖尿病とは糖尿病でない女性が妊娠によるカラダの変化によ…

副腎静脈サンプリングとは何か

副腎静脈サンプリングとは原発性アルドステロン症を診断するための検査である。 ■原発性アルドステロン症とは 副腎皮質の球状層に過形成が起こり、アルドステロンが過剰に分泌される疾患である。アルドステロンは腎臓の集合管でナトリウムイオンを再吸収・カ…

逆説的アシドーシスとは何か

糖尿病性アシドーシスの治療として、まずインスリンが用いられる。インスリンは標的細胞に働く際に血液中のカリウムを細胞の中に入れる作用があるので、それにより血液をアルカリに傾けることが出来る(一般的に、血中カリウムが上昇すればアシドーシスに、…

MENの覚え方・ゴロ合わせ

MEN(multiple endocrine neoplasia)とは多発性内分泌腫瘍のことで、定義としては2つ異常の内分泌腺で同時に腫瘍や過形成が生じる病態のことである。 どのような腫瘍の組み合わせかで MEN1型(wermer症候群) MEN2A型(sipple症候群) MEN2B型 に分類され…

女性化乳房をきたす疾患の覚え方

女性化乳房とは男性の乳腺組織が増殖する良性疾患である。病因としては男性ホルモンのアンドロゲン産生の低下や女性ホルモンのエストロゲン産生の上昇である。 鑑別としては、乳腺組織の増殖を伴わない胸部の脂肪沈着(肥満男性に多い)や男性乳がんが考えら…

ペラグラの症状とそのゴロ合わせ

ペラグラの症状とその覚え方 ペラグラとはナイアシン不足により生じる欠乏症状のことであり、日本においてはアルコール多飲や偏食により発症することがある(発展途上国では栄養失調として生じる)。症状としては皮膚症状(露光部の紅斑、色素沈着)、下痢、…

先端巨大症で高リン血症になる機序

先端巨大症で高リン血症になる機序 先端巨大症とは成長ホルモンが過剰に分泌されて骨・軟部組織の異常な発育と代謝異常をきたす疾患である。成長ホルモンは軟部組織だけでなく臓器も肥大させてしまい、たとえば心臓が肥大して心機能が落ちたり、甲状腺が増大…

肝硬変で低ナトリウムになる機序

肝硬変で低ナトリウムになる機序 肝硬変ではアルブミンの産生能が低下することにより膠質浸透圧が低下し、水が間質に移動する。それにより血管内が脱水状態となり、代償的に水を血管内に増やそうとする機構が働く。 一つはアルドステロンによる遠位尿細管か…

ACTHの過剰で色素沈着を起こす機序

ACTHの過剰で色素沈着を起こす機序 クッシング症候群のようにACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を過剰に分泌する疾患では皮膚粘膜に色素沈着が起こることがわかっている。皮膚の色素というのはメラニン産生細胞がメラニン色素を産生することにより生じているが、…

副甲状腺機能低下症で脳内石灰化を起こす機序

副甲状腺機能低下症で脳内石灰化を起こす機序 副甲状腺機能低下症とは自己免疫異常などにより副甲状腺からのPTH分泌が低下し、低カルシウム、高リンをきたす病態をいう。 血中Ca濃度が低下するのに大脳基底核や大脳白質内に異所石灰化像を認める。石灰化は高…

ループ利尿薬の作用機序と低カリウムになる理由

ループ利尿薬の作用機序と副作用で低カリウムになる理由 ループ利尿薬(フロセミド、ブメタニド、トラセミド) ループ利尿薬はヘンレのループの上行脚のNa+-K+-2Cl-共輸送体を阻害してNaの再吸収を抑制してNa利尿を引き起こす。Na利尿とはNaの再吸収を抑制す…

甲状腺クリーゼの治療で無機ヨードを用いる理由

甲状腺クリーゼ治療:無機ヨードの作用機序 甲状腺クリーゼとはバセドウ病などの甲状腺の基礎疾患を有する患者が感染症や外傷などが加わったときに発生する病態。クリーゼの症状としては中枢神経症上、発熱、頻脈、発汗、消化器症状を呈し、死亡率は20%に…

慢性腎不全で低カルシウム血症になる機序

慢性腎不全で低カルシウム血症になる機序 慢性腎不全になると糸球体濾過量が低下し、リンの排泄ができなくなるので高リン血症になる。すると副甲状腺からPTHが分泌されて高リン血症を解消するが、腎不全が進行するにつれて代償できなくなる。 高リン血症では…

バセドウ病で限局性の粘液水腫が生じる理由

バセドウ病で限局性の粘液水腫が生じる機序 バセドウ病とは甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能亢進となる疾患である。甲状腺に対する自己抗体TSH受容体抗体(TRAb)が原因と考えられている。 頻度はあまり高くないが、粘液水腫が下肢前頸骨部や足背…

尿細管性アシドーシスで低カリウムになる機序

尿細管性アシドーシスで低カリウムになる機序 尿細管性アシドーシスは障害部位によって近位型(2型)と遠位型(1型)の二つに分けられる。近位型では重炭酸イオンの再吸収障害で、遠位型ではプロトンイオンの排泄障害により体内が酸性に傾きアシドーシスと…

SIADHで尿量低下しない機序

SIADHで尿量低下しない理由 SIADHとはADHつまりバソプレシンが過剰に産生されてしまう病態であるが、バソプレシンの働きにより集合管から水が再吸収されて血中Na濃度が低下する。単純に考えれば集合管からの水の再吸収が亢進するので尿量が低下しそうである…

低Na血症の原因と鑑別

低ナトリウム血症の原因と対応 (今までの投稿の寄せ集め的な記事ですが) 【フローチャート】 STEP1,血漿浸透圧から低Na血症の原因を絞る。 血漿浸透圧の予測式=2×Na+2.8/BUN+18/Glu 浸透圧が280以下であれば低張性低Na血症、280以上であれば高張性or等…

甲状腺ホルモンT3、T4、rT3の違い

甲状腺ホルモンT3、T4、rT3の違い □甲状腺ホルモンの合成と分泌 甲状腺の瀘胞上皮細胞に甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素イオンが取り込まれる。そこで別に作られていたTg(サイログロブリン)と甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の作用により縮合反応が…

褐色脂肪組織と白色脂肪組織の違い

褐色脂肪組織と白色脂肪組織の違い 食事から体に入ってきた脂肪は脂肪組織に蓄えられるが、脂肪組織は褐色脂肪組織と白色脂肪組織に大別される。 人に多く存在するのは白色脂肪組織であり、脂肪細胞内に大量の中性脂肪を蓄えている(一般に”脂肪”と言えば白…

アルドステロン/レニン比の意義

アルドステロン/レニン比の意義 ・アルドステロンとレニン共に上昇=続発性アルドステロン症・レニンが低値にもかかわらずアルドステロンのみ上昇=原発性アルドステロン症 血症アルドステロン(pg/ml)血症レニン活性(ng/ml/h)の比を用いる。この比が200以…

糖尿病性ケトアシドーシスでクスマウル呼吸になる機序

糖尿病性ケトアシドーシスでkussmaul呼吸になるのはなぜか。 1型糖尿病では自己免疫的な機序により膵島ベータ細胞が破壊され、インスリンが正常に分泌されなくなる。インスリンがないと細胞は糖を利用することが出来なくなりエネルギー不足に陥る。その代償…

痛風と偽痛風の違い

痛風と偽痛風の違い 偽痛風とは… 痛風とは尿酸塩結晶が関節内に析出する事により生じる急性関節炎発作である。尿酸代謝異常により高尿酸血症を持続することで発症する。偽痛風は痛風と同じように急性の関節痛発作を起こすが、析出する物質が尿酸ではなくピロ…

先端巨大症で手根管症候群になる理由

先端巨大症で手根管症候群になる機序 先端巨大症とは成長ホルモンが過剰に分泌される疾患であり、骨や軟部組織の肥大所見が特徴的である。軟部組織の増加により、手根管内腔の狭窄をきたし主根管症候群となる。(手根管とは腱と神経が走っている手首内の管の…