つねぴーblog@内科専攻医

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急性心膜炎まとめ

急性心膜炎まとめ

 

◯急性心膜炎とは

男女関係なく全年齢で発症する。

原因の圧倒的多くはウィルス性を含む特発性。その他、細菌性、結核性、真菌性、悪性腫瘍、自己免疫疾患、心筋梗塞後、放射線治療後、尿毒症、薬剤、外傷などが原因として挙げられる。

*心膜炎の原因の内訳として特発性85〜90%、細菌性1−2%、結核性4%、悪性疾患7%、自己免疫疾患4%というデータもある。殆どが原因のはっきりしない特発性・ウィルス性だが、それ以外の原因を除外する必要がある。

また、心筋梗塞後の2−14週間後に発熱・胸痛を認めるドレスラー症候群(Dressler症候群)もあるが内科的治療の進歩により稀になっている。

 

【症状・身体所見】

ウィルス性心膜炎の典型的な症状は発熱、胸痛。

倦怠感や筋肉痛が先行することが多い。先行感染のエピソードも大事。

胸痛は突然発症で胸骨下や左前胸部であることが多い。

呼吸や咳で増悪する鋭い痛みであり頸部や肩、腕などに放散することもある。痛みは前屈で軽減して仰臥位で増悪もする。

診察で最も特異的なものは聴診による心膜摩擦音である。特異度は高いが、感度は低いので聞こえれば確定的、聞こえなくてもなんとも言えない。聴診は前屈で第四肋間胸骨左縁で大きく聞こえることが多い。

 

【検査】

・心電図で広範囲の誘導で下に凸のST上昇。

*心筋梗塞では上に凸のST上昇になるのに対して、心膜炎では下に凸のST上昇になる。

*また心筋梗塞ではⅡ,Ⅲ,aVfのST上昇など血流支配に関係した部位が上昇するが、心膜炎ではV1,aVRを除く全誘導など後半にのST上昇など上昇を認める。

*心電図の典型的な経過としては数日はST上昇→ST上昇正常化→T波陰転化→正常化

・血液検査

WBCやCRPなど炎症反応上昇はしばしばみられるが、著明に上昇している場合は化膿性心膜炎を考慮する(熱源精査、抗生剤治療も必要)。

CK-MBやトロポニンTが著明に上昇していれば心筋炎の合併を考えなければならないが、心膜炎のみでも心外膜細胞障害を反映して軽度上昇しうる

・心エコー

心膜で炎症が起こることによって心嚢液貯留をきたす。必ず確認が必要。

また、壁運動障害がないかも合わせて確認。

 

【予後・治療方針】

原因の多くはウィルス性であり自然に軽快する。治療は消炎鎮痛剤(NSAIDSやコルヒチン)による対症療法である。

細菌性や結核性、癌性などの場合は心タンポナーデに移行したり心筋炎の合併リスクもあるので経過観察が必要である。

入院か外来かはリスクファクターで分けて考える。以下の重症化リスクファクター1つでも当てはまれば特発性以外の原因が疑われ、入院により経過観察が必須。

 

◯重症化リスクファクター

・38度以上の発熱

・亜急性経過(発症日が明確でなく数日かけて症状出現)

・心嚢液貯留多量

・心タンポナーデ

・心筋炎合併

・免疫抑制状態

・外傷後

・抗凝固薬内服中

 

◯治療・生活指導

・特発性心膜炎の治療はNSAIDs+コルヒチン(コルヒチンは再発率を低下させる)。

NSAIDs自体は病期短縮効果はない。症状やCRPを指標に2周間以内に減量していく。消化性潰瘍予防薬も併用。もし無効であればステロイドも併用。 

*処方例:アスピリン粉末1回0.5g-1gを1日3回、コルヒチン0.5mgを1日1回、ネキシウムなどのPPI。1−2週間投与後に1日量でアスピリンは250〜500mgずつ減量、コルヒチンは3ヶ月間投与で終了。

・激しい運動は心膜炎の再燃リスクとなるため運動制限が必要。

症状改善およびCRP正常化までは坐位中心でできるだけ安静を心がける。競技スポーツは症状改善及び検査データ(心電図・CRP)正常化後でも、すくなくとも発症から3ヶ月は避ける。非競技系スポーツであれば症状改善や検査データ正常化までは控える。

 

参考文献

・ジェネラリストのための内科診断リファレンス、卒後10年目総合内科医の診断術、今日の治療薬