つねぴーblog@内科専攻医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

乳酸値上昇をみたら

乳酸測定の意義

 

◯乳酸とは何か

乳酸とはグルコースが解糖系で分解された産物。好気的環境下(酸素のある環境下)であればクエン酸回路になりエネルギーATP産生に寄与する。

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嫌気的環境下だとピルビン酸が乳酸脱水素酵素によって転換されて乳酸が産生される。端的に言えば、末梢組織に酸素が足りていないと乳酸値が上昇する。また、乳酸は肝臓で代謝されるため肝不全によって乳酸の代謝がうまくできていないと乳酸産生が亢進していなくても乳酸値上昇が起こる。

 

◯乳酸上昇の原因

乳酸値上昇の原因を列挙すると

(低酸素血症に伴うもの)

・循環不全(血圧低下していれば当然末梢組織に血流・酸素が届かなくなり、嫌気的環境になり乳酸産生亢進が起こる)

・重症貧血(貧血だと酸素を運搬するヘモグロビンが少ないので当然末梢組織の酸素不足になる)

・腸管虚血(末梢組織である腸管の循環不全でも当然乳酸値が上昇する。腸管虚血の診断において、乳酸値の上昇の感度は100%であるが特異度は42%との報告もあり乳酸値上昇してなければ腸管虚血はないと言ってもよい)

・四肢壊疽(これも末梢組織の循環不全なので乳酸値上昇する。)

・中毒(硫化水素中毒、シアン化物中毒)

 (低酸素血症を伴わない物)

・敗血症(酸素化が低下していなくとも末梢循環不全により乳酸値上昇する)

・肝不全(乳酸は肝臓で代謝されるため乳酸産生亢進していなくても乳酸値上昇する)

・アドレナリン刺激化(アドレナリン刺激はグリコーゲン分解を亢進させる。グリコーゲンの分解でグルコースが大量に作られると、グルコースが更に解糖系によってピルビン酸が大量に作られる。ピルビン酸は本来はクエン酸回路に入るが、基質量が多すぎて交通渋滞を起こしてクエン酸回路に入れずに一部は乳酸へと変換される)

・糖尿病性アシドーシス

・褐色細胞腫(アドレナリン分泌で末梢循環不全が引き起こされる)

 

 

◯乳酸上昇していると危ないのか?

ストレス下にない患者の血中ラクテート(乳酸)濃度は1~1.5 mmol/L(9-13.5mg/dl)程度。(*単位に注意)

乳酸値が18mg/dlを超える循環不全患者の死亡率は60%、32mg/dlを超えると80%にもなるとのデータもある(by ICU実践ハンドブック)。

乳酸値が18mg/dl以上の値を継続する時間をlac timeと呼び、この時間を短くすれば予後改善につながるとされている。いずれにせよ高値を認めた場合、再検してそれでも持続していたら原因検索および治療介入が不可欠。

 

◯乳酸上昇への対応

・低酸素血症に伴う乳酸上昇に対して

酸素化、換気、循環(ガス運搬)、代謝(ミトコンドリア内)のどこに問題があるのか考える。

・酸素化に関しては酸素投与、場合によってはNIPPVや人工呼吸管理

・換気:自発呼吸できていなければ人工呼吸管理。換気障害の原因検索

・循環:ショック状態の場合細胞外液の急速補充。心拍出量低下の場合はカテコラミンの使用。重症貧血であれば輸血。

・代謝:硫化水素中毒やシアン化物中毒などあれば亜硝酸塩治療

 

また追記します。。