つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

脳動脈瘤をみつけたら

頭部MRIでたまたま脳動脈瘤が見つかった時の考え方

 

・脳動脈瘤はMRIの進歩により偶発的に発見される機会が多くなった。

・径が3-5mm未満の動脈瘤や前交通動脈、脳底動脈、後交通動脈を含む内頚動脈の動脈瘤では偽陽性、偽陰性が多いので注意。

・好発部位は内頚動脈-後交通動脈(IC-PC)分岐部、前交通動脈(Acom)、中大脳動脈(MCA)分岐部

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・径の大きさで分類される。径10mm未満:小〜中型動脈瘤、10〜24mmで大型動脈瘤、25mm以上で巨大動脈瘤。当然大きければ大きいほど破裂の危険性は高まる。破裂しないとしても動脈瘤による神経の圧迫症状が出現しやすくなる。

・未破裂の動脈瘤での症状は、どの神経を圧迫するかによって異なる。

1、内頚動脈-後交通動脈(IC-PC)分岐部の場合

→動眼神経圧迫による複視、眼瞼下垂、散瞳

2、内頚動脈海綿静脈洞部

→動眼神経、外転神経圧迫による複視、眼瞼下垂、散瞳

3、内頸-眼動脈分岐部

→視神経圧迫による視力・視野障害

 

・未破裂動脈瘤の治療適応

A)大きさ5−7mm以上の未破裂脳動脈瘤

B)あるいは5mm未満であっても(1)症候性の脳動脈瘤、(2)前交通動脈および内頚動脈-後交通動脈部などに存在する脳動脈瘤、(3)Dome neck aspect比*が大きい・不整形・ブレブを有する形態的特徴を持つ脳動脈瘤。

 

もし、開頭手術や血管内治療を行わずに経過観察する場合は、喫煙、大量の飲酒を避け、高血圧を治療することが勧められる。また可能であれば約1年毎の画像による経過観察が必要。また、患者が高齢者であったり腫瘍などにより余命が10年以下であると考えられる場合も経過観察の適応となる。もちろん、治療もしくは経過観察の適否は十分なインフォームドコンセントを経て決定されることが望ましい。

 

 

*ドームネック比とは以下の図のように動脈瘤の入り口と内部の最大径の比率の事。

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