救急外来での降圧薬の選び方
救急外来に血圧が高いんです…と来た患者に何の降圧薬を出すか
(収縮期220、拡張期125以上のような場合では高血圧緊急症であり↑記事参照)
家で測って高くて来院時には落ち着いているような場合には無理して出す必要もないが、来院時血圧180程度、頭痛もありのような場合は高血圧緊急性でなければ何か降圧薬の内服を処方して外来で経過を見てもらうこともある。
心血管疾患、慢性腎不全、糖尿病などがあれば積極的な降圧が必要であるが、それ以外の場合であればまずは単剤で様子を見る(カルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、ARB、降圧利尿薬など)。この中でもカルシウム拮抗薬が副作用が少なく安全に使用しやすい降圧薬と言われる。
◯カルシウム拮抗薬の種類
・ジヒドロピリジン系:長時間作用型と短時間作用型がある。救急外来ではとりあえず短時間だけ効いてくれれば良いや!という考えのもと短時間が処方されてしまうこともあるようであるが、短時間作用型では頻回服用しなければならない上に高血圧合併症の抑制率が低く、また反射性交感神経刺激により頻脈になることも有るので積極的に推奨されない。長時間作用型のほうが合併症予防のエビデンスがある(心血管疾患、脳血管障害、腎不全)。
長時間作用型:アムロジピン(ノルバスク®)(2.5mg-10mg/day。分1−2)
短時間作用型:ニフェジピン(アダラート®)、ニカルジピン(ペルジピン®)など
・非ジヒドロピリジン系:
非ジヒドロピリジン系は心筋への作用をもち、抗不整脈薬として用いられる。救急外来での降圧薬目的として使われることはまずない。
ベラパミル(ワソラン®):頻脈に用いる。PSVTによい適応。降圧効果は少し。
ジルチアゼム(ヘルベッサー®):冠攣縮性狭心症に用いられる。降圧効果弱く、降圧目的では使わない。
(まとめ)
救急外来で何か降圧薬を単剤出すならアムロジピンがお勧め
・ALLHAT試験では最強のACE阻害薬との予後の比較で有意差なし
・半減期が2日と長く治療効果が安定している
・反射性の交感神経亢進もなく、虚血性心疾患にも悪さをしない
参考)
・循環器治療薬ファイル
・新日常診療での薬の選び方