つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

SPECTとPETの違い

・SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)とは

放射性同位体を投与して、そこからでるガンマ線を検出して電気信号に変換することで体内での薬剤分布を画像化することが出来る。投与する放射性同位体はTcやIなど非生理的物質であり、もともと身体にあるものではない。SPECTにおけるガンマ線のエネルギーは組織の吸収や散乱の影響をうけやすいため、後述するPETの方が定量測定には優れている。

 

 

・PETとは

SPECT同様身体からでる放射線を360度のリング状に配置された検出器から断層画像を得る。陽電子放出核種を用いることでSPECTとは異なる放射線計測が行われる。

PETで使うRI(放射性同位元素)は酸素や炭素、窒素、フッ素など生体内に存在する元素なのでSPECTに比べてより一層代謝の様子を正確に把握しやすい。癌の進行度などに有用。また、PETのメリットとしては、SPECTよりも感度・解像度・定量性に優れている。SPECTでは放射線の方向を知るためにコリメータを検出器の前に置くが、コリメータの穴を小さくすれば放射線を絞ることが出来るために解像度は上がるが感度は下がってしまうという問題点があった。が、PETでは同時計数法という方法を取ることで高解像度・高感度を実現できている。

 

まとめると

SPECT:施設多い、解像度よくない、脳血流を見る

PET:施設少ない、解像度高い、定量的、血流以外にも代謝も把握できる

 

◯例えば、

・アルツハイマー病の診断に

アルツハイマーでは脳萎縮が認められるが、初期には加齢により生理的な萎縮なのかどうかCTやMRIでは判断が難しい。そこで、SPECTやPETを用いれば脳血流や代謝がアルツハイマーでは側頭葉や頭頂葉で低下しているのがわかる。(健常人では低下していない)。

 

・パーキンソン病の診断に

Fluorodopaを使ったPETやドパミントランスポーター・モノアミン貯蔵顆粒のトランスポーターに結合する核種を使用したPETやSPECTでは被殻後部からアイソトープの取り込み低下が進行する。(が、多系統萎縮症や進行性核上性麻痺などの二次性パーキンソン症候群を呈する疾患でも低下する。)