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移転しました。

敗血症性ショックではドパミンではなくノルアドレナリンを使う理由

敗血症性ショックの初期治療としては1000〜2000mlの輸液負荷を行うと同時にそれでも改善しない場合は昇圧薬としてノルアドレナリンやドパミンが頻用される。

どちらもαアドレナリン受容体を刺激することによって血管収縮作用を示す。

ドパミンに関してはβ受容体の刺激作用も有ることから心拍出量の増加も期待されるが、この作用によって頻脈や不整脈の出現を引き起こす報告がある。また、ドパミンは腎臓などの臓器灌流量を増大させることも期待されるが、臓器不全改善効果は示されていない。

敗血症性ショック診療ガイドラインによるとノルアドレナリンとドパミンのアウトカム(28日死亡率、ショック離脱期間、ICU滞在期間、合併症発症率)は変わらないが、ドパミンのほうが有意に不整脈誘発率が上昇したとの報告があるため、ノルアドレナリン投与が第一選択として推奨されている。(グレード1A)

 

◯ノルアドレナリンの使い方

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ノルアドレナリン®1mg/mlを5アンプルを生理食塩水45mlに混合注射して50mlの溶液にする。つまり5mg/50mlのノルアドレナリン溶液となる。

投与速度は0.05〜0.3γ(=μg/kg/分)になるように調節する。

 

例えば5mg/50mlのノルアドレナリンを時間2mlで投与するとすれば

一時間で0.2mgのノルアドレナリンを投与することになる=0.2mg/時間

患者の体重を50kgとすると0.2mg/50kg/時間=0.004mg/kg/時間=4μg/kg/時間=4μg/kg/60min=0.06μg/kg/min(=γ)となる

 

よって体重50kgぐらいの患者の場合…

投与速度を0.05〜0.3γ(=μg/kg/分)内にだいたい抑えようと思えば、ノルアドレナリン5Aを生理食塩水で希釈して50mlの溶液にして2ml/時間でスタートして最大12ml/時間ぐらいまでアップさせる。ちなみにノルアドレナリンの効果は一過性で血圧上昇作用は注入中止の1−2分以内に消失する。

 

☆一般的な注意点:

のあるアドレナリンの投与を開始する時、点滴ルートの容量を計算する必要がある。例えば4ml容量のルートを使用した場合、2ml/時間のスピードで投与した場合、血管内に到達するまで2時間かかる計算になる。当然のことながら流量のある点滴の側管につなぐなど工夫が必要。

 

参考:

日本版敗血症診療ガイドライン2016:

http://www.jaam.jp/html/info/2016/pdf/J-SSCG2016_ver2.pdf

γ(ガンマ)単位とその計算方法 - つねぴーblog