つねぴーblog@内科専攻医

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脳浮腫に漢方五苓散が効く理由

脳梗塞や脳腫瘍あるいは慢性硬膜下血腫など頭蓋内病変によって脳浮腫が起こる。脳浮腫とは文字通り脳細胞がむくんだ状態であるが、脳全体の体積が大きくなりすぎると脳幹を圧迫する脳ヘルニアを引き起こして致死的な状態となりうる。

 

西洋医学的な治療法としては利尿薬によって尿量を増やすことで脳のむくみも改善させるという方法があるが、この方法では全身の水が出ていくので脱水や電解質異常などが出現しやすい。

一方で、五苓散は脳浮腫にピンポイントで働く。脳浮腫の発生には脳細胞の出入り口となっているアクアポリン4という水の輸送体タンパク質が関与しており、このアクアポリン4が開きっぱなしになると水が脳細胞内に入り込んで脳浮腫が引き起こされてしまう。(アクアポリンタンパクは全部で13種類あり、臓器によってその分布が違うことが知られているが、頭蓋内病変などが生じると脳のアクアポリン4タンパク質の発現が上昇することが動物実験で明らかになっている)。

五苓散(特にその成分のマンガン)はアクアポリン4を阻害することで脳浮腫の発症を有意に抑えることが知られ、近年脳外科領域で積極的に用いられている。