つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

感染症になると低アルブミン血症になるという話

肺炎や尿路感染症といった感染症や慢性関節リウマチや多発筋痛症など慢性疾患などがあると低アルブミン血症になることが知られている。これにはCRP(C反応性タンパク質)が関係している。

 

CRPとは肝臓で作られるタンパク質であり、炎症や組織細胞の破壊が起こると血液中に増加すると言う特徴がある。よって身体のどこであっても炎症反応が起こればCRPは上昇する。裏を返せば、感染症などになって肝臓で頑張ってCRPを作っているような状況下では同じく肝臓で作られるアルブミンの産生が低下することになる。

具体的にはストレス負荷時に分泌されるIL6やTNF-αなどのサイトカインが貯蔵タンパク質であるアルブミンの分解を促進し、逆に炎症性タンパク質であるCRPやフィブリノーゲンの合成を促進する(炎症時に上昇するこれらのタンパク質を急性期タンパクと呼ぶ)。また、サイトカインの働きによって血管透過性が亢進してアルブミンが血管から濾出してしまうのでより低アルブミン血症が進行する理由になってしまう。

 

【感染症後のCRPとアルブミンの関係】

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画像:bpac - CRP vs ESR POEM July 2005より改変

 

まとめ:感染症時の肝臓ではCRP産生が忙しくてアルブミンなんて作ってる隙がない。本当に低栄養でなければ炎症が落ち着くとアルブミンも徐々に改善する。高齢者の肺炎患者などで「アルブミン低いですし栄養状態悪いですねぇ」とアルブミンだけで栄養状態を判断しないようにしたい所。栄養状態が悪いのではなくCRPが作られてアルブミンを作っていない+血管の外に漏れているからである。