クロストリジウム・ディフィシル診断(感度と特異度)
CDI感染(クロストリジウム・ディフィシル)はいつ疑うか。
教科書的には抗菌薬使用後+入院患者に発生する下痢では疑わなければならないとされている。
◯CDIを起こしやすい抗菌薬
リスク比一覧(byホスピタリストのための内科診療フローチャート)
クリンダマイシン31.8
セファロスポリン14.9
シプロフロキサシン5.0
ペニシリン系4.3
マクロライド系3.9
レボフロキサシン4.1
ST合剤1.2
テトラサイクリン1.1
いずれの抗菌薬使用もリスクを上昇させるが、なかでもクリンダマイシンとセフェム系は特にリスクが高い。また抗菌薬の使用以外にもPPIの投与歴や炎症性腸疾患、腎不全の既往などもCDI発症のリスクとして知られている。
◯CDIの検査
主に使われる検査は2種類→GDH(グルタミン酸脱水素酵素)とトキシンA,Bの検査
GDHはクロストリジウム・ディフィシルの存在を調べる検査(感度85-95%、特異度89-99%)。トキシンA,Bは文字通り毒素産生の有無を調べる検査(感度62-87%、特異度93-99%)
いずれも特異度は高いが感度はそこまで高くない。
GDHとトキシン両方陽性であればCDIと診断、両方陰性であれば否定的。
片方陽性、片方陰性の場合は判定保留となる。
検査で判定保留となってしまった場合、現病歴や他の検査で他疾患が考えられれば原因検索をする。ちなみに培養検査は毒素を産生しない株もあるため診断的な意味はない。大腸内視鏡検査は特異度は100%と高いが、感度は51%と低いためCDIの除外はできない。
CDIの症状は多彩であり、無症状のものから1日20行の激しい下痢まである。また炎症反応上昇も著しく白血球30000超えなど白血病レベルまで上昇するケースもみられる。感染症でここまで上昇するのはCDIと百日咳のみとも言われており、診断のヒントになると考えられる。
また追記します。
参考文献:
もっと診断に直結する!検査の選び方、活かし方
レジデントのための感染症診療マニュアル
ホスピタリスト内科診療フローチャート