つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

バクタ(ST合剤)はいつ使うか

【ST合剤とは】

STが合剤なのはサルファ成分トリメトプリムが微生物の葉酸合成経路を別々の機序で阻害するから。これによりシナジーが生まれて1+1は2以上になる現象。葉酸合成系は人間にはなく、微生物のみにしか無いから有効に使える。微生物は葉酸合成系でテトラヒドロ葉酸を作ってDNAの材料にする。

 

・ST合剤は消化管の吸収もよく呼吸器、尿路、髄液、胆汁、骨と全身にくまなく広がってくれる。

・安価な広域抗菌薬なので頻用されて来たが、耐性菌の問題もあり現在先進国での利用シーンは限定される。

・スペクトラムとしてはグラム陽性菌、グラム陰性菌ともにカバー。陽性菌では腸球菌の耐性化が進行。嫌気性菌のカバーはなし。

・何よりも大事なのはニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)の第一選択薬

(HIV患者や高用量ステロイド投与患者に予防的に投与される)

トキソプラズマ(原虫)の治療と予防、ノカルジアの第一選択薬としての使用も大事。

・その他使われるシーンは尿路感染症。耐性がなければ大腸菌、腸内細菌群、腸球菌などに効く。膀胱炎にST合剤3日間などと処方される。(ただし、病院でのST合剤の耐性頻度が高ければ(20%以上なら)推奨されない)。

・市中肺炎でも使われうる。原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラなどはカバーできているが、近年肺炎球菌の耐性化が進行しているのでST合剤が第一選択になることはない。またマイコプラズマ肺炎など非定型肺炎には効かない。

 

・副作用としては腎機能障害、高カリウム、骨髄抑制が重要。

・また皮疹の出現頻度も高く、中にはスティーブ・ジョンソン症候群を呈するものも。

 

 

また追記します。