つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

皮質徴候とラクナ徴候の違い

皮質徴候とラクナ徴候の症状の違い

 

皮質徴候とは大脳皮質の障害による症状のことをいう。

脳の機能は大脳皮質に局在しているため障害部位によって生じる症状も異なる。

前頭葉障害:精神障害、原始反射、運動失調、錐体路症状、運動失語など

頭頂葉障害:複合感覚障害(二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚)。劣位半球では半側空間無視、失認、失行が生じうる。

側頭葉障害:側頭葉では海馬傍回、扁桃体、ウェルニッケ野などを含むため、精神運動障害、記憶障害、感覚性失語など多彩な症状を呈しうる。

頭頂葉障害:主に視覚の障害など

【大脳皮質の局在のイメージ】

f:id:tsunepi:20170916151938p:plain

↑画像参照:第1章 解剖と生理機能 脳の解剖 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

 

一方、ラクナ徴候とは…

ラクナ梗塞において出現する臨床症状をラクナ徴候と呼ばれる。

ラクナ徴候には以下のものが知られている。

・純粋運動性発作:顔面を含む不全片麻痺。責任病巣は内包後脚前2/3と後1/3の境界、橋下部の底部(皮質脊髄路の繊維が集合して錐体を形成する場所)

・純粋感覚性発作:一足音顔面、上下肢を含む半身の異常感覚発作。責任病巣は視床の後腹側核。

・運動失調不全片麻痺(ataxic hemiparesis):片側の脱力、腱反射亢進、病的反射と小脳失調様の運動失調を呈する発作。責任病巣は麻痺側と反対側の橋上1/3と下2/3の境界部にあるとされている。

・構音障害・手不器用症候群:構音障害、嚥下障害、片側の手の運動障害、書字障害、腱反射亢進、病的反射を伴う発作。中枢性顔面神経麻痺、舌の偏位、小脳様運動失調なども見られる。

ラクナ徴候にはこの他にも様々あるが、ラクナ梗塞では意識障害、失語、失行、痙攣などがないため、これらの症状があればラクナ梗塞以外の原因を考える必要がある。

 

【↓ラクナ梗塞のイメージ】

f:id:tsunepi:20170916152349p:plain

画像参照:脳梗塞について | 疾患について | ご利用案内トップ | 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院