つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

緊急下部消化管内視鏡の適応

下血においていつ緊急下部内視鏡検査を行うか

 

下部消化管出血は上部消化管出血に比べて安静のみで止血が得られることが多く、緊急で下部消化管内視鏡検査を行われることは少ない。

 全身状態が安定していて、慢性的な持続出血や少量出血では十分な前処置を優先してからの下部消化管内視鏡検査でよい。特に憩室出血に関しては保存的治療で自然に止血することが多いので、初回の緊急内視鏡検査でいたずらに長時間止血処置を試みるよりも、再出血をきたすもののみ止血術を行うとの方針も可能と考えられる。逆に血管奇形、急性出血性直腸潰瘍は大量下血やショックをきたしやすいので緊急内視鏡検査が必要になるケースが多い。

 

また、下血であってもそれが上部消化管からの出血なのか、下部消化管からの出血なのかで対応が変わるため、本当に下部消化管出血なのか鑑別は非常に大事。

補液治療でバイタルが安定してから、胃管を挿入して胃内容物が血性かどうか調べる。胃内容物が血清であれば上部消化管出血として対応、非血清であれば腹部造影CTを施行して活動性の出血があるか評価する。

 

活動性の出血が示唆されれば緊急下部内視鏡検査、塞栓術などで止血を試みる。(が、どのぐらいの状態で緊急内視鏡をするべきかは未だコンセンサスは得られておらず、施設によって差がある)

 

【下部緊急内視鏡の適応の1例】

予測出血量が多い場合(収縮期血圧115以下、心拍数100以上、4時間以上の出血の持続、失神のエピソードなど)は早期診断・治療がより重要のため全身状態、循環動態を確保でき次第緊急で下部消化管内視鏡検査を施行。

 

参考文献:「下部消化管出血に対する緊急大腸内視鏡検査の検討ー早期の検査は必要か?ー」、「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」