つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

軽度貧血の患者にすぐ輸血してはいけない理由

【貧血の基準】

成人男性 Hb14 g/dL未満

成人女性 Hb12 g/dL未満

高齢者 Hb11 g/dL未満

 

急性に消化管出血が起こっていてどんどんと貧血が進行している場合などでない限り、慢性の軽度貧血患者にすぐに輸血をしてはならない。例えば高齢者でHb9-10だと貧血の基準に該当してしまうが、すぐに赤血球輸血2単位などしてしまうとむしろ予後が悪くなると考えられている。Hbが高いと血液粘稠度を上昇させて動脈硬化の進行している患者では血栓リスクが増大してしまうからである。激しい運動をするアスリートなら別であるが、静かに生活するような患者に高いヘモグロビン値はむしろ害悪になりうるということである。ヘモグロビンの基準値はただの基準値であり決して最も長生きできる数値というわけではない。

 

A Multicenter, Randomized, Controlled Clinical Trial of Transfusion Requirements in Critical Care (N Engl J Med 1999; 340:409-417February 11, 1999)

↑の論文によるとICU入院患者でHb7以下になってから輸血したグループとHb10以下になってから輸血したグループを比較した研究があるが、これではHb7を切ってから輸血したグループのほうが予後(30日死亡率)が良かったとのこと。

 

→慢性的な貧血の場合、Hb値は7−8あれば十分で輸血の必要はない(ただし急性出血中の場合は別)。