急性低ナトリウム血症の初期治療
急性低ナトリウム血症への対応
低ナトリウム血症では血漿浸透圧が低下することにより血液中から細胞へ水がシフトし、脳浮腫を引き起こしうる(致死的)。神経症状が出現している場合は速やかに補正を開始する必要がある。
・脳ヘルニアの危険がある場合
→3%食塩水を50〜100mlを10分かけて投与
・意識障害や嘔吐、一過性痙攣などがある場合
→3%食塩水50〜100mlを1時間かけて投与
意識障害が改善したら投与スピードをゆっくりにする(浸透圧性脱髄症候群を起こさないように)。
体重50Kgの人に3%生理食塩水を50ml投与すると血漿Na濃度は約1mEq/L上昇する。
根拠)
Na投与量(mEq)=(目標Na濃度ー現在のNa濃度)×体液量であるが
血漿Na濃度を1上げる→(目標Na濃度ー現在のNa濃度)=1となるので
Na投与量(mEq)=1×体液量となる。体液量は体重×0.6mEqなので
Na投与量=体重×0.6mEqという式になる。
さて3%食塩水は30gの食塩水が1000mlの水に溶けているもの→NaCl30g/1000ml
NaCl10gは10000mg/(23+35.5)より170mEqとなる。
30g食塩は3倍すれば良いので170×3=510mEq
よって3%の食塩水1000mlは510mEq/1000mlなので0.51mEq/mlとなる。
話を戻すと、Na投与量=体重×0.6mEqを3%食塩水で考えると体重×1.2mlとなる。
よって50kgの人では50×1.2で60mlとなる。
ということで体重kg×1.2mlの3%食塩水を投与すれば血漿Naが1mEq/l上昇することになる。少しややこしいのでほぼほぼ体重(kg)の数値分mlの3%食塩水投与でNaが1mEq上昇するとイメージしておけば良いと思われる。