とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

足背動脈触知の方法とその意義

◯足背動脈の場所とその触診方法

 

足背動脈とは前脛骨動脈の延長で、足背において長母指伸筋腱の外側(小指側)に位置する動脈のことである。内果と第三指の付け根を結ぶ線の中心部あたりを通る。

触診のコツとしては、患者に下肢を伸ばしてもらい、母指を上に上げて長母指伸筋腱をよく見えるようにして、その外側を探す。浮腫などでわかりにくい時に特に大事なことである。足背動脈の中枢側では血管が深い所にあり触れにくく、末梢側では血管が細くなりこれまた触れにくいので適切な場所でないとわかりにくい。少しずつ手をずらして探す。検者は第二指―第四指の3本の指を並べて血管を触れるようにする。また、右手と左手で両方の足背動脈を同時に触れて左右差を比較することも大事。

 

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【足背動脈触知の一例】

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http://itotak.m78.com/kaiyou2.html

 

◯足背動脈を何故触診するのか

足背動脈や後脛骨動脈など下肢の動脈は看護師にルーチンで見てもらってることが多い。これらの下肢動脈で脈拍触知が出来なければ急性動脈塞栓症や閉塞性動脈硬化症(ASO)の可能性を示唆することになるが、健常人であっても足背動脈は3−14%の人で触れないとの報告もあり、脈拍触知出来ないから血管が狭窄している短絡的に考えてはならない。大事なのは比較であり、左右差があったり以前は脈触知出来ていても今はできなくなっているなどがあれば血管狭窄を示唆する。

 

・急性動脈塞栓症であれば塞栓部位の突然の痛みやしびれ、冷感なども呈するために感覚の低下している高齢者でなければわかりやすい。

・閉塞性動脈硬化症(ASO)であれば足背動脈や後脛骨動脈の脈拍消失に加えて、大腿動脈での血管雑音の聴取が非常に重要な所見。その他に、足が左右非対称に冷たければASOを強く示唆する(感度は低いが特異度は高い)。他にも、下肢の指でのSpO2測定もASOの診断に非常に有用であり下肢のSpO2が指のSpO2より2%以上低いとASOを強く示唆すると言われている。