refeeding症候群の病態とその診断
refeeding syndrome(リフィーディング症候群)とは
長期間絶食が続いて著しい低栄養状態の患者に急速に栄養を与えることで様々な症状を呈する代謝合併症の事をいう。極度の低栄養状態では糖質分解によるエネルギー獲得が期待できなくなるため、代わりのエネルギー源として遊離脂肪酸やケトン体を分解するようになる。また、摂取不足によりリンなどのミネラルも枯渇気味になる。
◯リン不足により…
この時に栄養を外から与えると、エネルギー源として糖質を利用するようになり、それに応じて膵臓からインスリン分泌もなされるようになる。インスリンはブドウ糖を細胞内に取り入れATP合成を促進するが、ATPはADPにリン酸塩が付加して作られるため、元々少ないリンが更に枯渇してしまう。極度の低リン血症では意識障害、精神症状、呼吸不全、循環不全など様々な重篤な症状が引き起こされる。
◯ビタミンB1不足により…
また、低栄養状態ではビタミンB1も慢性的に不足しており、そこで糖質分解が起こると更に補酵素としてビタミンB1が使われてこれもリンと同様ますます減少する。ビタミンB1不足ではウェルニッケ脳症や高拍出性心不全が起こる。
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リフィーディング症候群ハイリスク基準
■以下の項目を1つ以上満たす場合
・BMIが16以下
・過去3−6ヶ月の間に意図しない体重が15%以上減少する
・10日間以上の絶食
・摂食前の血清リン、カリウム、マグネシウムの低値
もしくは
■以下の項目を2つ以上満たす場合
・BMIが18.5以下
・過去3−6ヶ月の間に意図せずに体重が10%以上減少する
・5日間以上の絶食
・アルコール依存症、インスリン、抗がん剤、制酸剤、利尿剤の使用