つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上に設定する理由

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上にする理由

 

例えば10L/分投与をすると、1秒あたりは167mlの酸素を投与することになる。患者の1回換気量を500ml、吸気時間を1秒とするとボンベからもらえる酸素は167mlのみでは足りないので残りの334ml(500−167ml)は外界から入り込んでくる空気を吸うことになる。つまり10L/分酸素投与しても実はボンベからの酸素供給が患者の吸入スピードに追いついていない状態である。

そこで単純に3倍の量の酸素投与、つまりタイトル通り30L/ 分で酸素を投与すれば1秒あたり500mlの酸素を投与することになるので患者の1回500mlの換気で全て純酸素を提供することが出来る

 

さて、ネブライザー付きマスクとはベンチュリー効果を利用して大量の空気を患者に送り込むマスクである(下のgif参照)。普通の酸素流量計では15L/分までしか酸素を流せないが、前述の通り患者の吸入スピードに追いつくためには分速30Lで流さなければならない。ベンチュリ効果とは小さな出口からO2を流すことによってジェット流を作り出すと、その周囲が陰圧となって周りにある空気が吸い込まれる。これを利用してボンベからの酸素+外界の空気をブレンドさせて30L/分のスピードで患者に空気を届けることができる。

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ネブライザー付きマスクにはトータル流量早見表というものがある(以下図参照)。

図の見方は横軸が100%酸素の流量、縦軸が混合された気体の酸素濃度、表の中の数字は送り出す合計の空気量(ボンベからの酸素+外界の空気量)。

 

例えば15L/分の酸素を70%の設定にすると下の表では24.2Lの空気を送り出すことになる。つまり24.2-15=9.2Lは外界からの空気をベンチュリ効果で一緒に吸い込んでいるということになる。結果的に送られる酸素量はボンベからの15Lと外界の空気に含まれる酸素(9.2L✕0.21=1.93L)を足して約17Lということになる。合計で送っている空気は24.2Lなので酸素17Lを全気体の24.2Lで割れば70.2%と早見表で従ったとおりのO2濃度にブレンドされるのである。

 

が、

注意点はトータル流速を30L/分以下に設定してしまうと患者の吸気スピードに追いつかないのでマスクの隙間から更に外界の空気が入り込んでしまい酸素濃度は設定より下がってしまう。設定したどおりの酸素濃度を実現するには30L/分以上、下の表で言うと青色となっている部分にしないといけないのである。

 

 

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表参照:http://www.j-mednext.co.jp/library/inspiron_faq_safe_ans.html