つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

急性心筋梗塞の初期対応MONAの意味

心筋梗塞の初期対応→MONA

参考:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)

 

MONAとはMorphine, Oxygen, Nitrate, Aspirinの頭文字を取ったもの。

 

M:モルヒネ(塩酸モルヒネ)

疼痛が強いと交感神経亢進により心負荷が増加し、心筋酸素消費量を増加させ、梗塞巣の拡大や不整脈の誘発があるため、鎮痛は速やかに行う。ただの対症療法ではない。

なお、順番としてはまず亜硝酸薬を使用して胸痛が改善するか反応をみる。反応がなければモルヒネ使用。

ガイドライン的には

2-4mgを静脈内投与し、効果が不十分であれば5-15分毎に2-8mgずつ追加投与する。血圧低下をきたした場合には、下肢を挙上して輸液負荷を行う。 

 

O:酸素療法

心筋梗塞は心筋の相対的ないしは絶対的な酸素不足状態であるため酸素投与が必要。酸素投与により虚血性心筋障害が軽減される可能性も報告されている。基本的には経鼻カニューレや酸素マスクで2−5L/分で酸素開始、来院後6時間継続。

ガイドラインでは

・肺うっ血やSpO2 94%未満を認める患者に対してクラスⅠ推奨

・全ての患者に対する来院後6時間の投与クラスⅡa

  

N:ニトログリセリン

狭心症発作では速やかに効果が出るため強く推奨されるが、心筋梗塞ではあまり効果は期待できない。更にショック時(収縮期血圧90mmHg以下、通常の血圧に比べて30mmHg以上の低下、高度徐脈(HR50以下)、頻脈(HR100や右室梗塞時では血管拡張により病態を更に悪化させるので禁忌。

ガイドライン的には

・心筋虚血による胸部症状がある場合は舌下またはスプレーで口腔内噴霧で痛みが消失するか、血圧低下で使用できなくなるまでに3−5分ごとの計3回まで可能 。ただし血圧低下や下壁梗塞で右室梗塞合併が疑われる場合には避ける。

 

A:アスピリン

アスピリンは抗血小板作用により血小板の凝集や粘着を阻害することが出来るので心筋梗塞のような動脈血栓症には効果は抜群。脳出血リスクなどが強くない限り、投与が強く推奨されている。STEMIが疑われる全患者にできるだけ早くバイアスピリンを投与。アスピリン162-325mg(バイアスピリン®100mg2〜3錠)を噛み砕いて内服。ただし嘔気や嚥下障害などで内服できない場合は代わりにチエノピリジン系抗血小板薬で代用する。↓

 

P:チエノピリジン系抗血小板薬(クロピドグレル(プラビックス®)

PCIを予定している患者ではステント留置が予想されるのでステント血栓予防目的でアスピリンに加えてチエノピリジンも使った抗血小板薬2剤併用療法を行う。

チエノピリジン系にはクロピドグレル、チクロピジンがあるが、クロピドグレルはチクロピジンに比べて副作用少なく、初期負荷投与300mgから数時間での効果発現が期待される。維持量は75mg。

血栓溶解療法を行う患者や再灌流療法を予定していない患者にもアスピリンに加えクロピドグレル75mg/dayの投与は推奨されている。

 

ガイドラインでは

・PCIを予定している患者ですでに服用されているチエノピリジン系薬剤の継続投与レベルA

・PCIを予定している患者でチエノピリジン系投与されていない症例でのできるだけ早い段階でクロピドグレルのloading dose投与レベルA

・アスピリンの使用が困難な患者でのチエノピリジン投与レベルB

 

プラビックス®投与も基本的に考慮することになるのでMONAぴー(P)とでも覚えてしまっても良いかもしれない?

 

ちなみに…

ヘパリンも急性心筋梗塞時に用いられるが、これは単独では効果が乏しい。ガイドラインでは「急性冠症候群患者を対象とした小規模の試験では、ヘパリン単剤投与での有効性は認められず、アスピリンとヘパリンの併用投与が推奨される」とされている。