つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

心筋梗塞を疑うST低下のパターン

ST低下には主に3つのパターンがある。

 

・下降傾斜型(downsloping type)

・水平型(horizontal type)

・上行傾斜型(upsloping type)

 

心筋虚血に伴うST低下は下降傾斜型、水平型が多いと言われている。特に診断特異度が高いのは下降傾斜型。上行傾斜型は健常人でも見られうる。

 

◯危ないのは水平型と下降型

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画像参照:心電図の読み方:ST低下を覚えるエクササイズだ! | 心カテブートキャンプ

 

判定方法であるが、下降傾斜型と水平型に関してはJ点から2mm(0.08秒後)のところで1mm以上の低下をST低下と判断する(J点とはQRSとSTの接合部を意味するもの)。上行傾斜型では虚血との関連が低いのでJ点から2mmのところで2mm以上の低下でST低下と判断する。が、それでも上行傾斜型の診断特異度は低いとされている。

(J点について詳しくは↓記事参照)

ST上昇はどこを見て判定すればよいのか - とある研修医の雑記帳

 

もちろん、ST低下の判定基準を満たさなくても、胸痛があったり、高リスク患者であったりトロポニンIなどの心筋障害マーカーが高値を認めたりするなどしたらやはり虚血を考える必要がある。あくまで判断は総合的に。

 

【ST低下の他の原因】

心室内の伝導障害をきたす病態(左脚ブロック、WPW症候群など)でもST低下が見られることがある。これらの場合はQRS幅が広がっているかどうかで鑑別する必要がある。また左室肥大ではストレイン型のST低下となることもあり、QRSの高さで鑑別する。