つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

マクロリエントリーとマイクロリエントリーの違い

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リエントリーとは日本語で言うと「回帰」「再び入る」という意味。

通常であれば洞結節で始まった興奮は洞房結節を介して心室に伝わり一方通行のはずである。が、心房粗動や心房細動ではリエントリー、つまり心房で一度始まった興奮が心室に行かずに心房内で何度も何度もぐるぐる廻るってしまう病態である。

 

・心房細動の原因はマイクロリエントリー(=小さなリエントリー)

・心房粗動の原因はマクロリエントリー(=大きなリエントリー)

 

健常人であれば心臓のリズムは洞房結節から規則正しく生じて房室結節を介して心室に興奮が伝わり、心室を収縮させる。が、心房粗動の場合は右房と右室の間にある三尖弁の辺りで電気刺激がぐるぐる回ってしまう(=リエントリー)。特に特定の構造物の周りを規則正しく回っているような場合を解剖学的リエントリーという。解剖学的リエントリーの場合はそれを解除するために電気的にそのルートを焼く(カテーテルアブレーション)必要があるが、原理的にはリエントリーのどの部分を焼いても頻拍は停止し治療効果はある。実際には一番焼きやすい場所を見つけるのが大事。尚、心房粗動の原因としては心肥大や弁膜症、高血圧による心負荷などがある。

【心房粗動のイメージ図 】

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イラスト参照:心房粗動 – 日本不整脈心電学会

 

 

 

一方心房細動に関しては心房内にマイクロリエントリーが発生する。

文字通りマイクロな(=小さな)リエントリー(電気刺激がぐるぐる廻る)が発生している。心房粗動の場合は大きなリエントリーが1つだったのに対して、心房細動は小さなリエントリーがたくさん発生する。心房細動発症の原因は明らかではないが、危険因子としては高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、心不全、ストレス、アルコールなど指摘されており、これらが傷害因子となって心房で線維化が起こることが原因と考えられている。基本的には加齢病である。

心房細動では主に肺静脈付近でリエントリーが生じることが報告されている。この領域は胎生初期にはペースメーカー細胞が多数存在し、成人してからもその一部が残っているので心房細動の起源というのは納得のいく話である。また肺静脈の周囲は輪状筋があるので構造的にはリエントリーが起こりやすいと考えられる。カテーテルアブレーションを行う際は肺静脈領域を隔離することで根治治療が行われることがある。

 

【心房細動のイラスト】

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画像引用:http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20101124150915353