つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

腸閉塞を示唆する病歴と身体所見

✅腸閉塞/イレウスを疑ったときの問診

 

○開腹手術歴の有無

→開腹手術歴のある小腸閉塞は、術後の癒着性腸閉塞である頻度が高い。

→閉塞箇所が1箇所である場合が多く、NGチューブによる減圧と十分な輸液で改善することが多い。

・癒着によってclosed loopが形成されていたとしても、初期治療はこれで問題なし。(緊急手術が必要となることは稀)

逆に、手術の既往はないけれど腸閉塞(特に小腸閉塞)を疑ったときは要注意。術後の癒着が関与していないならばその他の原因を考える。ヘルニアはとくに重要で全腸閉塞の1割はヘルニアによるもの。外ヘルニアが存在せず症状を繰り返すよう な場合は内ヘルニアも鑑別に入れねばならない

 

○食事歴

2,3日以内に食物繊維の豊富なものを多量に食べてないか(昆布・わかめ・こんにゃくなど)。

 

○腹痛(もし有れば)の性状

腸閉塞であれば通常間欠痛が起こる。腸管の閉塞部位がながければ長いほど腹痛の間隔も長くなる。遠位の回腸であれば十数分間隔、小腸閉塞であれば4,5分程度の間隔の間欠痛となる。

 

○嘔吐の有無

小腸閉塞であれば口が近いため多量の嘔吐が起こるはずである。一方、大腸閉塞であれば回盲弁で閉鎖されているので嘔吐はほとんど起こらないはず(高齢などで回盲弁の機能が低下していれば別であるが)。

 

✅腸閉塞/イレウスを疑ったときの身体所見

○腹膜刺激徴候(反跳痛等)

絞扼性腸閉塞では腹膜刺激徴候がでうる。癒着性腸閉塞では腹膜刺激徴候は出ない。

また、他の原因(消化管穿孔など)でイレウスになっている場合は当然腹膜刺激徴候は出る。

 

○直腸診

大腸腸閉塞であれば最多の原因は大腸がん。直腸診で容易に触れる腫瘤がないか?

 

○ヘルニアの診察(そけいヘルニア等)

小腸閉塞の原因としてヘルニアは重要。内ヘルニアは診察だけではわからないが、外ヘルニアは触診を忘れない。

(↓CT@閉鎖孔ヘルニアの一例)

https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758116442_1a.html

 

 

 

✅腸閉塞を示唆する病歴と身体所見の陽性尤度比

 

陽性尤度比の高い順に…

肉眼的腸蠕動(21)

便秘の病歴(8.76)

腹部膨満(6.07)

腹部全体の圧痛(5.13)

嘔吐後に症状軽快(4.3)

腸蠕動音亢進(3.47)

腹部全体の腹痛(3.32)

腸蠕動音低下(3.18)

間欠痛(2.9)

食事で腹痛増悪(2.78)

板状硬(2.7)

腹部手術歴(2.6)

参考文献:Eur J Surg.1998 Oct;164(10):777-84 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

↓同じ内容と思われるが日本語でまとめてくださってました。

kensyui.com/ileus.ppt
 

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