顔面外傷患者への対応
顔面外傷患者への対応
・鎖骨より上に外傷あれば頚椎損傷を常に考える。
・出血や腫脹が激しければ気道閉塞のリスクがあり気道確保を検討する(挿管困難であれば輪状甲状間切開)
【バイタル】
体温、血圧(外出血があればまず止血)、SpO2(気道の確保は必要ないか?)
【身体所見】
◯顔面全体
変形、腫脹、内出血の有無
耳漏、鼻漏の有無
眼窩縁、頬骨縁、頬骨弓、下顎縁で明らかな段差を認めないか
◯眼周囲の外傷→眼窩底骨折をチェック!
・視力障害の有無
・眼球運動障害の有無
・複視の有無(眼窩底骨折では上転時に複視訴える)→眼窩底骨折を疑う
眼窩とは眼球の入っているくぼみのことであるが、眼窩の入り口の骨は強いが、眼窩の奥の方にある眼窩底の骨は強度が弱く、ボールなどが強く当たることで骨折してしまう。
・眼球運動障害から悪心・吐き気を訴えることもある
【眼窩底骨折のイメージ】
画像参照:http://www.jsprs.or.jp/member/disease/facial_fractures/facial_fractures_03.html
・顔面神経障害がないか(目を強く閉じる→顔面神経頬骨枝、口を尖らせる→頬枝、口角を下に引く→下顎縁枝、頸枝)
特に眼窩下神経領域の感覚障害の有無を確認(眼窩の下壁に感覚神経が走行しているので、損傷すると頰部〜上口唇の感覚障害を呈する)
★もし、眼窩底骨折があれば鼻をかまないように生活指導する。鼻をかむと空気が骨折部位から眼窩内に入り込んで場合によっては視力障害を起こしうる。
・眼窩底骨折は形成外科でフォロー。
基本的に複視や眼球運動障害などの症状がなければ眼窩底骨折があっても手術しない。
複視の症状も眼窩底の腫れや出血が引いてくると症状が自然と軽快することが多い。
外眼筋が骨に挟み込まれている場合は緊急手術となる場合もある。
・眼窩底骨折のCT例:眼窩底骨折がおこり、眼窩の内容物が副鼻腔に飛び出している
http://www.nakagami.or.jp/case/c_cont01/case-1522/
●鼻周囲の外傷
正面から視診し変形の有無
→鼻骨骨折の有無(別記事:鼻骨骨折への対応参照)
)
触診し動揺の有無
鼻中隔血腫の有無(もしあれば早急にドレナージ。でないと軟骨壊死を起こす)
●口周囲
開口障害の有無
咬合異常の有無(tongue blade 試験:舌圧子を奥歯でかんでもらい、舌圧子をひねり痛みがあるかどうか。あれば上顎骨骨折、下顎骨骨折、頬骨骨折を精査)
口腔内損傷の有無(舌、歯も含めチェック)
【検査】
●頚椎レントゲン
顔面の外傷であれば脊椎損傷を常に考慮する。
●顔面レントゲン
Waters撮影(顔面一般)、Towne撮影(頬骨弓、顎関節)を行うが、骨折はわからないことが多い。
●頭部CT
レントゲンに比べれば格段にわかりやすいので骨折が疑われるのであれば施行する。
また追記更新します。